祝・開館40周年! サントリーホールが記念事業の概要を発表

 1986年10月12日、東京初のコンサートホールとして開館したサントリーホールは、来年40周年を迎える。11月12日、同ホール ブルーローズ(小ホール)にて記念事業に関する記者会見が行われ、館長の堤剛(チェリスト)、総支配人 長政友美、現在ツアーで来日中のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 楽団長のダニエル・フロシャウアー(ヴァイオリニスト)らが登壇した。

 チェロ奏者として長きにわたり日本のクラシック音楽界を牽引してきた堤。会見冒頭の挨拶ではこの40年を振り返りながら、周年に向けての想いを次の通り語った。

堤「私自身、演奏者として多くの著名なコンサートホールの舞台に立ちましたが、世界で高く評価されるホールというものはただ『立派な建物がある』だけではなく、その土地の人々とともに歴史を歩み、そして現在に至るまで温かく力強いサポートを得ていると感じています。サントリーホールでは近年、周辺各国での新たなホール建設にあたり視察にお越しいただく機会も増えてきましたが、これまで皆さまとともに培った経験や知見を共有することで、アジアのリーディングホールとしてますます音楽界に貢献していく所存です」

 2026年4月1日から2027年2月28日の11ヵ月間、様々な記念公演を開催するサントリーホール。その中でも大きな目玉となるのが、リッカルド・ムーティ指揮 ウィーン・フィルによる「40周年記念ガラ・コンサート」だ。幾多もの来日を重ねてきたマエストロ&オーケストラが、日本を代表するピアニスト 内田光子をソリストに迎え、10月31日&11月1日の2日間にわたってアニバーサリーを華々しく寿ぐ。また、その1週間後からは恒例の「ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン」も開催される。

フロシャウアー「ウィーン・フィルにとって、サントリーホールでの演奏はそのシーズンでのハイライトを意味しており、舞台に立った瞬間、『できる力をすべて出しきって、最大限いい演奏をしよう』という想いに駆られる場所です。そして、その関係は大ホールの中だけにとどまるものではなく、公開マスタークラスや『こどもたちのためのコンサート』など多くのプロジェクトを通じて良い結び付きが生まれています。とりわけ私にとっては2016年、東日本大震災の被災地に訪問して現地の子どもたちと交流を深め、そしてサントリーホールで『第九』をともに演奏したことは、今なお忘れがたい記憶として残っています。
 実は来年は、ウィーン・フィルが初めて日本を訪れてからちょうど70年にあたります。私たちと日本との結びつきにおける節目と、サントリーホールの40周年という二つの重要な記念の年が重なり合うこと、そしてそれを50年以上にわたりともに歴史を刻んできたマエストロ・ムーティとお祝いできるということで、心より嬉しく思っています!」

 主催公演ではヨーヨー・マ(チェロ)、MIDORI(ヴァイオリン)ら世界的アーティストも登場し、スペシャルコンサートを開催。また、小山実稚恵(ピアノ)による3回にわたるリサイタルシリーズ、小林研一郎(指揮)の「500回記念コンサート(サントリーホール出演回数、仮称)」など、ホールと深い関係で結ばれた日本人アーティストも独自の企画で記念年を彩る。

 日本を代表するコンテンポラリーの祭典「サマーフェスティバル」を通じて、現代音楽の発信にも力を入れ続けてきたサントリーホール。来年は同フェスティバルで「40周年記念公演」が行われるほか、7月には現代中国を代表する作曲家がタン・ドゥンによるホール・オペラ®《TEA》が再々演される。2002年に完全オリジナル作品としてサントリーホールで初演されて以来、世界各地でも高い評価を受けているだけに期待が高まる。加えて、15周年・室内楽の祭典「チェンバーミュージック・ガーデン」、100回目となる子どものためのオーケストラ定期公演「こども定期演奏会」など、ホールの記念年とともに節目を迎えるおなじみの企画も要注目だ。

 主催・共催公演に加え、周年期間内に開催されラインアップを彩る「参加公演」なども含め、例年のおよそ倍近い公演が展開されるというサントリーホール。フロシャウアーは会見中、同ホールについて、「日本やアジアの枠を超えた、“世界の”リーディングホールの一つだと私は思っています。そしてその責任感は、ここで働く皆さまの仕事の姿勢からひしひしと伝わってきます」と評した。“世界一美しい響き”をめざして――たゆまぬ歩みを続けてきたサントリーホールが、総力を挙げて贈る40周年を楽しみに待ちたい。

サントリーホール
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