
音楽監督・沼尻竜典とともに快進撃を続ける神奈川フィルハーモニー管弦楽団が、フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2025に登場し、オリヴィエ・メシアンの大作「トゥランガリーラ交響曲」に挑む。神奈川フィルがこの作品を演奏するのは、楽団の歴史上初めてのこと。沼尻の着任以来、ワーグナーやR. シュトラウス、ショスタコーヴィチの大作で次々と名演を成し遂げ、アンサンブルの精度を飛躍的に向上させている神奈川フィルが、メシアンのスコアからどのような愛と官能を聴かせてくれるのか。大いに期待が高まる。
オンド・マルトノのソロは楽器の第一人者で、この作品の演奏には欠かすことのできない存在である原田節が務め、ピアノのソロにはコンテンポラリー・ミュージックの領域で高い評価を獲得する俊英・北村朋幹が招かれる。キャリアの初期からこの作品をたびたび取り上げ、録音も残している沼尻は、スコアの細部にまで神経の行き届いた、緻密で透明度の高い演奏を創り上げるだろう。役者は揃った。
文:八木宏之
(ぶらあぼ2025年8月号より)
フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2025
沼尻竜典(指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
2025.8/8(金)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/

八木宏之 Hiroyuki Yagi
青山学院大学文学部史学科芸術史コース卒。愛知県立芸術大学大学院音楽研究科博士前期課程(修士:音楽学)およびソルボンヌ大学音楽専門職修士課程(Master 2 Professionnel Médiation de la Musique)修了。
2021年春にWebメディア『FREUDE』を立ち上げ。クラシック音楽を中心にプログラムノートやライナーノーツ、レビュー、エッセイを多数執筆するほか、アーティストへのインタビュー、コンサートのプレトーク、講演会なども積極的に行なっている。
https://freudemedia.com


