名匠ヤノフスキ&PMFオーケストラが東京へやってくる——イッサーリスと放つ若きエネルギー

左:マレク・ヤノフスキ ©Felix Broede
右:スティーヴン・イッサーリス ©Satoshi Aoyagi

 また夏がきて、札幌は若々しい音楽の情熱に彩られることになる。パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)の話だが、今年の注目はなんと言っても、凄腕のオーケストラ職人マレク・ヤノフスキがPMFオーケストラの首席指揮者として、定評のあるドイツ音楽の名作をみっちりと指導することだ。同じ曲目で音楽祭締め括りの東京公演にもやってくる。

PMFオーケストラ

 ドイツ各地をはじめ欧米の歌劇場で経験を積み上げてきたヤノフスキは、2020年にもPMFに首席指揮者として登場が予定されていた。だが、パンデミックの影響で音楽祭自体が中止になり、5年の歳月を経て、このたび待望の初登場となる。今年3月には「東京・春・音楽祭」でN響とワーグナーの《パルジファル》で名演を聴かせたばかりだが、名うてのオーケストラ・ビルダーとして知られる名匠が、札幌に集う若者たちになにを教え込むのか、その成果が存分に聴けるものと期待される。

 サントリーホール公演は、《ローエングリン》第1幕への前奏曲で幕開けし、後半にはシューマンの交響曲第3番 変ホ長調「ライン」とR.シュトラウスの交響詩「死と変容」を組み合わせる。やはりPMF初参加となるイギリスの名チェリスト、スティーヴン・イッサーリスが殊に愛してやまないシューマンの協奏曲で共演するのも楽しみだ。コンサートを通じて、大作曲家によるオペラの序曲、コンチェルト、交響曲、交響詩という多様なかたちで、ドイツ音楽の本道が織りなされるのは教育上も、もちろん私たち聴衆にとっても興味深いところだろう。

文:青澤隆明


パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌 2025
2025.7/9(水)~7/29(火)

PMFオーケストラ東京公演
2025.7/29(火)19:00 サントリーホール

出演
マレク・ヤノフスキ(指揮)
スティーヴン・イッサーリス(チェロ)
PMFオーケストラ
曲目
ワーグナー:歌劇《ローエングリン》第1幕への前奏曲
シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 op.129、交響曲第3番 変ホ長調 op.97「ライン」
R.シュトラウス:交響詩「死と変容」op.24

他公演
ピクニックコンサート<レナード・バーンスタイン・メモリアル・コンサート>
7/26(土)12:00 札幌芸術の森・野外ステージ
PMF GALAコンサート
7/27(日)15:00 札幌コンサートホール Kitara

問:PMF組織委員会011-242-2211
https://www.pmf.or.jp
※プログラム、出演者は公演により異なります。詳細は上記ウェブサイトからご確認ください。