最初にして最後のチャイコフスキー体験!?
まさに前代未聞! 何とチャイコフスキーの三大交響曲、第4番・第5番・第6番「悲愴」が1公演で披露される。しかも演奏は、20数年ぶりに来日するロシア国立交響楽団。これを“話題公演”と呼ばずしてどうする! と声を上げずにはいられない。
「ロシア国立交響楽団」と表記される団体は2つある。スヴェトラーノフが率いた旧「ソヴィエト国立交響楽団」と、ロジェストヴェンスキーが率いた旧「ソヴィエト国立文化省交響楽団」。本公演を行うのは、「ロシア国立シンフォニー・カペラ」とも呼ばれる後者である。彼らは、巨匠サモスードが1957年に設立した楽団を前身とし、ショスタコーヴィチの息子マキシム等が歴任後、ロジェストヴェンスキーの時代に「文化省〜」の名で台頭。ショスタコーヴィチの交響曲全集等のCDで注目を集め、前回の来日公演ではフレッシュな“爆演”を聴かせた。
今回の指揮者は、ヴァレリー・ポリャンスキー。1949年モスクワに生まれ、合唱指揮者として名を馳せた彼は、1992年から同楽団を率いて成功を収め、英シャンドス・レーベルでの膨大なCD録音で耳を惹き付けてきた。しかし意外にも今回が初の日本ツアーとなる。
つまり本公演は、「あのロジェヴェンのオーケストラは今?」「“鬼才”ポリャンスキーが聴かせる音楽は?」「20年を超えるコンビネーションは?」 といった主に3つのポイントがあり、興味が尽きない。
もちろん、チャイコフスキーの三大交響曲を本場の演奏で一挙に聴くという、おそらく二度とない体験が魅力だが、俊才・辻本玲が弾くドヴォルザークのチェロ協奏曲と、人気抜群の及川浩治が弾くラフマニノフのピアノ協奏曲を堪能できる公演や、新鋭・木嶋真優が弾くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と交響曲1曲を楽しめる公演などもあるので、日程をチェックしたい。
これは、ロシア政府が数千万円単位の助成金を提供するなど、国の威信をかけた来日公演。果たして懐かしの爆演が復活するのか? はたまたCDで聴ける独特の繊細さが発揮されるのか? いずれにしても足を運ばずにはおれない。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から)
7/9(木)サントリーホール(チケットスペース03-3234-9999)Ⓑ
7/10(金)アクトシティ浜松(中)(053-451-1114)Ⓒ
7/11(土)神戸文化ホール(078-351-3349)Ⓓ
7/12(日)横浜みなとみらいホール(テンポプリモ03-5810-7772)Ⓐ
7/13(月)武蔵野市民文化会館(0422-54-2011)Ⓐ
7/15(水)盛岡市民文化ホール(019-621-5100)Ⓐ
7/17(金)新潟市民芸術文化会館りゅーとぴあ(025-224-5521)Ⓐ
7/18(土)東京芸術劇場 コンサートホール(テンポプリモ03-5810-7772)Ⓐ
7/19(日)愛知県芸術劇場 コンサートホール(中京テレビ事業052-957-3333)Ⓐ
7/20(月・祝)ザ・シンフォニーホール(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000)Ⓐ
7/24(金)福岡シンフォニーホール(RKBミューズ092-831-1919)Ⓐ
7/25(土)三原市芸術文化センターポポロ(HOMEイベントセンター082-221-7116)Ⓔ
7/26(日)とりぎん文化会館梨花ホール(0857-21-8700)Ⓐ
7/27(月)石川県立音楽堂(ケィ・シィ・エス076-224-4141)Ⓐ
プログラム
Ⓐチャイコフスキー三大交響曲
Ⓑドヴォルザーク:チェロ協奏曲(チェロ/辻本玲)/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番(ピアノ/及川浩治)他
Ⓒチャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン/木嶋真優)/交響曲第6番「悲愴」他
Ⓓチャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン/木嶋真優)、交響曲第5番 他
Ⓔチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(ピアノ/及川浩治)、交響曲第6番「悲愴」 他