20年以上にわたり埋もれた日本の管弦楽曲を蘇演してきたオーケストラ・ニッポニカが、昨年末「管弦楽のための協奏曲」を集めた演奏会を開催。これはその模様だ。日本で最初に作曲したのは東京音楽学校に招かれていたクラウス・プリングスハイムで、1934年のこと。日本的な旋律にモダンなオーケストレーションを施した30分単一楽章の作品。戦前の東京でこれが響きわたっていたというのが痛快だ。三善作品の他に「浪速のバルトーク」の異名を取った大栗裕のバーバリスティックな作品(1970年作曲)も収録。こちらは朝比奈隆のドイツ客演のために作曲された。“オケ・コン”の歴史は意外に国際的なのだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2025年6月号より)
【information】
CD『管弦楽のための協奏曲―プリングスハイム、三善晃、大栗裕―/野平一郎&オーケストラ・ニッポニカ』
プリングスハイム:管弦楽のための協奏曲/三善晃:管弦楽のための協奏曲/大栗裕:管弦楽のための協奏曲
野平一郎(指揮)
オーケストラ・ニッポニカ
収録:2024年12月、日本製鉄紀尾井ホール(ライブ)
妙音舎
MYCL-00064 ¥3410(税込)