ノエ・乾&滝千春、才気あふれるふたりのヴァイオリニストが織りなす一夜

 2人のヴァイオリニストの個性が溶け合い、ときにぶつかり合うヴァイオリン・デュオ。その面白さをたっぷり体験できそうなのが、5月の日経ホールの「ノエ・乾 & 滝千春」公演だ。

 ノエ・乾はギリシャ人と日本人の両親をもち、ブリュッセルに生まれ、同地とパリとカールスルーエの音楽院・大学をいずれも首席卒業した俊英。母国ベルギーでイザイやグリュミオーから脈々と続く、フランコ・ベルギー派の奏法を受け継ぐ貴重な存在だ。滝千春はメニューイン国際コンクールを制覇、その後も内外で活躍を続ける俊才で、名教師ザハール・ブロンに師事してロシア伝統の奏法を学んだ。両者ともそれぞれ伝統的かつ個性的な奏法の継承者だが、ヴァイオリンを豊かに鳴らして、濃密に歌い込む点は共通する。

 モーツァルト、イザイ、プロコフィエフの代表的なデュオ名品に、強烈なタップも入るコリリアーノ「ストンプ」、さらに各々のソロ曲も組み込まれるプログラムで、両者の個性と奏法、そしてヴァイオリンの魅力を楽しむ。

文:林 昌英
(ぶらあぼ2025年5月号より)

第558回日経ミューズサロン ノエ・乾 & 滝 千春 究極のヴァイオリン二重奏コンサート
2025.5/21(水)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://art.nikkei.com