牛田智大が第51回日本ショパン協会賞を受賞

 日本ショパン協会(会長:海老彰子)は4月24日、51回目を迎えた日本ショパン協会賞の2024年度受賞者に、ピアニストの牛田智大(うしだ ともはる)が選出されたと発表した。
 この賞は1974年にスタート。同協会の理事会がショパン作品演奏の年間最優秀者を毎年顕彰している。近年では、川口成彦、藤田真央、三浦謙司、反田恭平、亀井聖矢ら、世界的に活躍する若手ピアニストが受賞している。

牛田智大 ©Ariga Terasawa

 牛田は、1999年福島県いわき市生まれ。6歳まで上海で育つ。12歳でCDデビューを果たすなど、早熟の才を発揮し、注目を集める。その後の活躍は周知の通り。2018年には、浜松国際ピアノコンクールで第2位。昨年のリーズ国際ピアノコンクールでも聴衆賞を受賞するなど、国内外のピアノファンの人気を集める存在となっている。ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管、トマーシュ・ブラウネル指揮プラハ響など、海外のオーケストラとの共演も多い。近年は、とりわけショパンに注力し、2022年からワルシャワで研鑽を積んでいる。

 今年5月には東京交響楽団とバンコクやクアラルンプールを巡るツアーが予定されているほか、8〜9月にはアンナ・スウコフスカ=ミゴン指揮ワルシャワ国立フィルの日本ツアーでソリストを務めるなど、さらなる飛躍が期待される。

牛田智大の受賞コメント

このたびは日本ショパン協会賞にお選びいただきとても光栄です。昨年10月に行われた、ショパンの「ピアノ協奏曲第1番・第2番(ケヴィン・ケナー&クシシュトフ・ドンベクによるピアノ6重奏版)」の公演では、カルテット・アマービレの皆さん、コントラバスの加藤雄太さんとともにいろいろなアイデアを試し、長時間にわたるリハーサルやツアーを通してたくさんの話し合いをしながら作品に取り組みました。ときおりソロとオーケストラが分離し、典型的な古典派ヴィルトゥオーゾ協奏曲のスタイルに陥ってしまいがちなショパンの協奏曲において、すべてのパートが一体となったときに生まれる構造的・交響的な魅力に光を当てることはできないかーーそんなテーマをもって皆で試行錯誤した結果に、かぎりなく温かいこのような評価を与えていただいたことに深く感謝しております。

わたし個人としては、これまで素晴らしい音楽家の方々が紡いでこられた伝統ある賞をいただくことに大きな責任を感じると同時に、一抹の戸惑いがなかったわけではありません。こんにち日本において我々の世代がショパンや彼の作品について学び、演奏においてさまざまな挑戦ができるのは、なによりもこれまで日本ショパン協会を中心として素晴らしい先生方や諸先輩方が演奏や研究に情熱を注ぎ続けてくださったからこそであり、まさに巨人の肩に立って学び続けることの静かな重みを感じております。これからもショパンという偉大な存在に向き合い続けると同時に、いつか次の世代にも学んだものを引き継いでいけるよう、変わらぬ情熱をもって日々努めていく所存です。本当にありがとうございました。

日本ショパン協会
http://chopin-society-japan.com