紀尾井シンフォニエッタ東京 2015/16シーズン定期演奏会

今年も期待高まる意欲的なラインナップ

 紀尾井シンフォニエッタ東京の2015/16シーズンのラインナップが発表された。紀尾井ホールのレジデント・オーケストラとして例年意欲的な公演に取り組む同楽団だが、新シーズンも充実したプログラムが並ぶ。
 まず新シーズンの幕開けとなる第101回定期演奏会では、ハンガリー出身のガーボル・タカーチ=ナジが指揮台に上る。かつてタカーチ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリニストとして活躍したマエストロが披露するのは、ベートーヴェンの劇音楽「シュテファン王」序曲、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、メンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」。チャイコフスキーの協奏曲では、コンサートマスターに就任したアントン・バラホフスキーが独奏を担う。バラホフスキーはバイエルン放送交響楽団の第1コンサートマスターも務める名手。
 第102回では、阪哲朗が登場。シューマンの緩徐楽章抜きの交響曲とでもいうべき「序曲、スケルツォとフィナーレ」と、交響曲第4番という聴きごたえのある2曲に加えて、ソプラノの澤畑恵美による管弦楽伴奏付き歌曲(曲目未定)が演奏される。レーゲンスブルク歌劇場音楽監督を務める阪の確かな手腕が発揮されることだろう。
 第103回は、ソリストが強力だ。ベルリン・フィルのソロ・ホルン奏者シュテファン・ドールが、R.シュトラウスのホルン協奏曲第2番とモーツァルトのホルン協奏曲第3番を演奏する。ドールの妙技を協奏曲2曲で聴けるのがうれしい。指揮はウィーン・フィルのコンサートマスターでもあるライナー・ホーネック。緻密なテクスチャーを描き出すR.シュトラウスの「メタモルフォーゼン」も聴きものだ。
 第104回では、古楽の名匠トレヴァー・ピノックが2012年に続いて招かれる。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番(ピアノ:イモジェン・クーパー)、ハイドンの交響曲第103番「太鼓連打」他で、ピノックの端正で躍動感あふれる音楽を楽しめる。
 第105回は指揮者なしの演奏会だ。第101回定期でソリストを務めたアントン・バラホフスキーのリードで、ブリッジの「弦楽のための組曲」、ペルトの「タブラ・ラサ」、ドヴォルザークの「弦楽セレナーデ」に挑む。
 多彩なプログラムと出演者がそろった新シーズンに期待が膨らむ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)

第101回 9/11(金)、9/12(土)
第102回 12/4(金)、12/5(土)
第103回 2016/2/12(金)、2/13(土)
第104回 2016/4/22(金)、4/23(土)
第105回 2016/6/17(金)、6/18(土)
紀尾井ホール

2015/16シーズン レジデント・メンバー(定期会員):発売中
セレクト3(2015/16シーズンから3公演を選択):5/16(土)発売

問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061
※各回の発売日を含む詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.kioi-hall.or.jp/kst.html