発起人・宮田大&横溝耕一が語る「室内楽フェスティバル AGIO vol.2」

 第一線で活躍する豪華アーティストが一堂に会する音楽祭「宮田大&横溝耕一が贈る 室内楽フェスティバル AGIO vol.2」が12月13日から15日までの3日間、浜離宮朝日ホールにて開催される。昨年9月の「vol.1」ではのべ2,300人以上の来場者数を達成し、よりパワーアップしての開催となる「vol.2」。音楽祭の発起人であり、お互いを「大ちゃん」「耕ちゃん」と呼び合う親友でもあるチェロ奏者の宮田大と、ヴィオラ&ヴァイオリン奏者の横溝耕一に意気込みを聞いた。

左:宮田大 ©日本コロムビア
右:横溝耕一 ©Shigeto Imura

横溝「『AGIO』は僕にとって長年の夢でした。日本には素晴らしい音楽祭がたくさんありますが、その多くがオーケストラをメインに据えたもので、地方都市で開催されています。若くて優秀な弦楽器プレイヤーが揃っている東京で、室内楽の音楽祭を開催できないかとずっと思っていました。その夢を、僕がもっとも信頼を置いているプレイヤーであり、人間である大ちゃんと一緒に実現することができて本当に幸せです」

宮田「耕ちゃんから最初に『AGIO』の構想を聞いたときから、絶対に実現させる男だと思っていました。耕ちゃんとは桐朋で高校1年生のときに出会って、よくご飯を一緒に食べに行ったり、家に泊まりに行ったりするほど仲がよくて。同級生には、今も活躍している優秀で面白い男子がたくさんいましたが、なかでも耕ちゃんはみんなの人気者でした。そういった彼の人間性が『AGIO』という場を作り出したのだと思っています」

横溝「人気者ではないですが(笑)、僕が友だちとして同世代のアーティストに声をかけることで、所属事務所やオーケストラといった垣根を越えて、ふたつ返事で『いいよ』と言って出演してくれるということはありますね。それはある意味、今の自分の立ち位置だからこそできることなのかなと」

 今回は、昨年から1公演増えて、3日間で全6公演がプログラムされている。ふたりがとくに楽しみにしている演奏会、注目ポイントを聞いた。

横溝「今年はシェーンベルクのアニバーサリー(生誕150年)ということで、 弦楽六重奏『浄められた夜』を演奏します(12/14)。なかでも三浦文彰がヴィオラを弾くというところが注目。彼の方から『ヴィオラを弾きたい』と言ってきてくれたんですよ」

宮田「僕はやはり『魅惑のチェロ・クァルテット』を推したいですね(12/13)。大好きなチェリストである辻本玲ちゃんとも意見交換しながらプログラムを決めました。彼の音っていうのは、出したくても出せないんですよ。ですから身近で演奏を聴いていて、いつも勉強になります」

左より:三浦文彰 ©Yuji Hori/辻本 玲 ©KING RECORDS/沼沢淑音/郷古 廉 ©Hisao Suzuki

 忙しい日々を送る同世代の仲間たちが久しぶりに顔を合わせ、音で会話する場は貴重なもの。「AGIO」ならではの顔合わせも多々ある。

横溝「同級生の沼っち(ピアニストの沼沢淑音)との共演は高校生以来なので楽しみです。学生の頃から才能豊かで、ロシアに留学して、今や桐朋の准教授になって。経歴を見るとエリート・ピアニストですが、じつは野生味にあふれた人間で。音楽も人間性もすごく面白いんです」

宮田「三浦文彰と郷古廉という、同年代のふたりが同じステージに立って共演する機会はこれまでなかったと思います。今回を逃すと次はなかなかないのでは」

 0歳から入れるファミリーコンサート(12/15)では、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」を超一流のメンバーで演奏する。

横溝「オーケストラと違って、室内楽は誰が弾いているかが手に取るようにわかるので、子ども向けだからといって気は抜けません。驚くほど豪華なメンバーによるアンサンブルですが、そこで大の大人が本気を出してやる、それを見せることが子どもの教育においていちばん大事な部分なのではないかと思っています」

宮田「この公演は朝の10時半開演で、プレイヤーにとっては大変です(笑)。音楽祭の期間中は連日いろんな曲を演奏することになるので、相当の練習量と、それをこなす体力が必要。なによりプレイヤー自身が楽しまないと乗り切れません」

 アーティストだけでなく、そこに集うお客さんにとっても、交流の場になってほしいという「AGIO」。東京の音楽シーンに新たな風を吹き込んでくれるに違いない。
取材・文:原 典子
(ぶらあぼ2024年10月号より)

【Information】
Bunkamura オーチャードホール × 浜離宮朝日ホール 共同企画
ORCHARD PRODUCE 2024
宮田 大 & 横溝耕一が贈る 室内楽フェスティバル AGIO vol.2

2024.12/13(金)~12/15(日) 浜離宮朝日ホール


魅惑のチェロ・クァルテット

12/13(金)14:00
オープニング・ナイト

12/13(金)19:00
ピアノ三重奏 & ピアノ四重奏

12/14(土)14:00
弦楽六重奏《浄められた夜》

12/14(土)18:30
ファミリーコンサート《動物の謝肉祭》

12/15(日)10:30
クロージング・コンサート

12/15(日)15:00
問:Bunkamura 03-3477-3244
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/
https://www.bunkamura.co.jp

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