【CD】コスタンツィ チェロ・ソナタ集 /懸田貴嗣&渡邊孝

 初期チェロ音楽は未開拓の沃野だ。ジョヴァンニ・バッティスタ・コスタンツィ。18世紀中葉のローマで活躍した音楽家が、自身の楽器であるチェロのために書いたソナタ等を、懸田貴嗣が渡邊孝と共に録音してくれた。約12年前のランゼッティ録音以来、十分な研究と準備を経ての快挙だ。ボッケリーニの師でもあったコスタンツィ。広い音域を駆け回り、ユーモアもあるソナタたちは、チェロが「自らの歌」を歌い始めた清新の気に満ちる。懸田のバロック・チェロは歯切れよく、フレーズの彫りは深く、小気味よい。渡邊も当意即妙の合いの手で、ソロでガスパリーニのトッカータが聴けるのも嬉しい。
文:矢澤孝樹
(ぶらあぼ2024年10月号より)

【information】
CD『コスタンツィ チェロ・ソナタ集 /懸田貴嗣&渡邊孝』

コスタンツィ:チェロ・ソナタ 変ロ長調、同ハ短調、同ヘ長調、同ト長調、チェロのためのシンフォニア/ガスパリーニ:スピネッタのためのトッカータ「イザベッラ婦人のために」 他

懸田貴嗣(チェロ)
渡邊孝(チェンバロ)

コジマ録音
ALCD-1225 ¥3300(税込)