セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団

名匠のタクトが鮮やかに描くドイツ・オペラのオーケストレーション

左:セバスティアン・ヴァイグレ ©読響
右:エドガー・モロー ©Parlophone Records Ltd

 この4月にR.シュトラウスの楽劇《エレクトラ》の演奏で大好評を博したセバスティアン・ヴァイグレ&読売日本交響楽団のコンビが、再び、得意のR.シュトラウスを取り上げる。今回は、歌劇《ばらの騎士》組曲。ヴァイグレ&読響は2017年に東京二期会の《ばらの騎士》上演に際しオーケストラ・ピットで共演しているだけに、彼らの関係の深化を聴くには最適の作品といえるだろう。

 このコンサートでは、チェロのエドガー・モローが、ブルッフの名曲「コル・ニドライ」のほか、コルンゴルトのチェロ協奏曲を弾くことにも注目。モローは、1994年パリ生まれ。2011年のチャイコフスキー国際コンクールで第2位に入賞した。演奏機会の少ない協奏曲にも積極的に取り組み、これまでにコルンゴルトのほか、オッフェンバック、ヴァインベルグ、デュティユー、グルダなどの録音を残している。コルンゴルトのチェロ協奏曲は、映画『愛憎の曲』のために書かれた音楽をもとに作られた十数分ほどの作品である。初演は1946年。映画音楽を素材としているだけあって、短いながらも大編成を取り、モダンで美しく、聴きやすい作品となっている。また、コルンゴルトのつながりで、ヨハン・シュトラウスII世へのオマージュである、「シュトラウシアーナ」が披露されるのも楽しみ。そのほか、ヴァイグレが十八番とするドイツ・オペラからウェーバーの歌劇《オベロン》序曲も演奏される。
文:山田治生
(ぶらあぼ2024年8月号より)

第270回 土曜マチネーシリーズ
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