6月6日から13日までアルメニアのエレバンで行われていた第20回ハチャトゥリアン国際コンクールのヴァイオリン部門(審査委員長:ゾフラブ・タデヴォシヤン)で、日本から参加していた関朋岳が第1位を獲得。同部門での優勝は日本人初となる。同じくファイナルに残っていた荒井里桜も第3位に入賞、併せてシューベルト「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」のインタープリテーション特別賞も受賞した。
第1位 Tomotaka Seki 関朋岳(日本)
第2位 Sergey Mkrtichian(ロシア)
第3位 Rio Arai 荒井里桜(日本)
今回のヴァイオリン部門では、同国出身で日本でも人気の世界的ヴァイオリニスト、セルゲイ・ハチャトゥリアンや、名教師としても知られるアナ・チュマチェンコ(ドイツ)など著名なヴァイオリニストたちが審査員に名を連ねた。ファイナルのステージはそれぞれ2セッションあり、モーツァルトの協奏曲とコンクールの名称にもなっているアラム・ハチャトゥリアンの協奏曲の2曲が課題曲となっていた。関は、モーツァルトの協奏曲第3番ト長調の第1楽章冒頭で弾き振りする場面も。ハチャトゥリアンの協奏曲では、セルゲイ・スムバチャン指揮アルメニア国立交響楽団との共演。起伏に富んだ3楽章からなる協奏曲を、繊細かつカンタービレ豊かに披露した。
関朋岳 ファイナルのハチャトゥリアン協奏曲映像
http://www.amadeus.tv/library/666aaf32e04adacbddb279bb
荒井里桜 ファイナルのハチャトゥリアン協奏曲映像
http://www.amadeus.tv/library/666aabfce04adacbddb279ba
第1位の関には、賞金1万USドルが贈られるほか、2025-26シーズンにコンクールが指定するオーケストラとの共演機会が与えられ、楽器貸与などの副賞も設けられている。また、審査員の一人エステル・ハフナーからは弓も授与された。第3位の荒井には、賞金3千USドルのほか、2024-25シーズンにベルリンでの演奏会の機会が与えられる。
関は、10歳でオーケストラと初共演を果たすなど、早熟の才を発揮。2018年に東京音楽コンクールを制し、2023年にはバルトーク国際コンクールでも第2位に入賞するなど、活躍が続いている。東京音楽大学アーティストディプロマコース卒業。これまでに日本フィル、東京フィル、東響などと共演している。一方、荒井は、東京藝術大学を経てローザンヌ高等音楽院卒業。2018年に日本音楽コンクールで優勝したほか、翌19年には仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門で第6位に入賞。国際コンクールへの出場を重ねるとともに、現在はジャニーヌ・ヤンセンのもとで研鑽を積んでいる。
2003年創設の当コンクールは、毎回アラム・ハチャトゥリアンの誕生日である6月6日に開幕するのが恒例となっている。年により開催部門が異なり、近年では2021年に指揮者部門で出口大地が第1位、22年にはチェロ部門で北村陽が第2位に入賞している。次回開催は2025年。指揮者部門が実施される予定。
写真提供:Khachaturian International Competition
Khachaturian International Competition
https://khachaturian-competition.com/en