巨匠の半世紀の歩みが凝縮されたツアー
「炎のコバケン」こと小林研一郎が今年84歳を迎える。いまだ情熱を失わない彼が世界的に注目を浴びたのは、50年前のブダペストだった。第1回ブダペスト国際指揮者コンクールでの優勝だ。そのとき指揮したハンガリー・ブダペスト交響楽団(ハンガリー国鉄交響楽団)とは半世紀にわたって共演を重ねた。今年の来日公演は、指揮者とオーケストラが出会って50周年を記念するものにもなる。
半世紀前のコンクールで演奏したというロッシーニの《セビリアの理髪師》序曲で、演奏会はスタート。続くリストのピアノ協奏曲第1番では、亀井聖矢をソリストに迎える。ロン・ティボー国際音楽コンクールの優勝以来、快進撃を続けるピアニストが、きらびやかでテクニックが要求される協奏曲に挑む。
メイン・ディッシュは、チャイコフスキーの交響曲第4番だ。小林にとっては定番たる作品の一つ。スケール感豊かに、メリハリの利いた熱い演奏が期待できよう。もちろん、火の粉が飛び散るようなフィナーレには誰もが胸を熱くするはずだ。
ブダペスト交響楽団の日本ツアーは、サントリーホール以外に、6月下旬から7月上旬にかけて全国で行われる。メイン曲は、ほかにもチャイコフスキーの交響曲第5番とドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を取り上げる予定だ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年3月号より)
2024.7/2(火)19:00 サントリーホール
問:テンポプリモ03-3524-1221
https://tempoprimo.co.jp
他公演
2024.6/22(土)~7/6(土) いわき、所沢、武蔵野、さいたま、高松、金沢、盛岡、名古屋、堺
※一部公演ではマリオ・コシックが指揮を務めます。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。