岡本侑也がエベーヌ弦楽四重奏団の新チェロ奏者に決定!

 世界で最も注目を集めるクァルテットのひとつである、フランスのエベーヌ弦楽四重奏団 Quatuor Ébène は1月31日、チェロのラファエル・メルランの退団に伴って、岡本侑也を正式なメンバーとして迎えたことを発表した。メルランは昨年9月にジュネーヴ室内管弦楽団の芸術監督兼音楽監督に就任するなど、活動の軸足を指揮に移すことになり、クァルテットは新たなメンバーを探していたという。

Quatuor Ébène © Julien Mignot

 岡本侑也は、1994年生まれ。2017年にエリザベート王妃国際コンクールで第2位に入賞。2019年には、クリスチャン・ツィメルマンに認められ、室内楽プロジェクトのメンバーとして国内外で共演するなど、着実にキャリアを積み重ねてきた。先日来日していたトマーシュ・ブラウネル指揮プラハ交響楽団の日本ツアーにもソリストとして参加し、高い評価を受けた。昨年夏から、ゲスト・チェリストとしてエベーヌ弦楽四重奏団のツアーに帯同しており、ヨーロッパ各地で共演を重ね、今回の正式メンバー決定という快挙に至った。

 エベーヌ弦楽四重奏団は、1999年フランスのブローニュ=ビヤンクール地方音楽院に在学中の4人によって結成。2004年のARDミュンヘン国際コンクール優勝を皮切りに、2006年には英BBCの「新世代アーティスト」に選出されるなど注目を集め、ERATOレーベルからリリースしたCDは、数々の賞を受賞している。弦楽四重奏の王道プログラムの録音もさることながら、ジャズやポップス、映画音楽を収録した「FICTION」(2010)や、サンバやボサノヴァなどラテンのナンバーで新境地を開拓した「BRAZIL!」(2014)などのアルバムでは、他の追随を許さない驚くべき演奏スタイルをみせている。2017年にヴィオラ奏者が、現メンバーのマリー・シレムに交代。2019年から2020年にかけて世界各地を巡ったツアー「Beethoven Around the World」の成功は彼らの評価を決定づけるものとなった。
 古典からジャズまでジャンルを超え、弦楽四重奏の概念さえ変えようとする彼らの活動。世界の室内楽ファンを熱狂させる、鮮やかなコントラストと推進力に満ちた圧倒的なパフォーマンスが、新メンバー岡本を迎えてどのように展開していくのか、目が離せない。

◎エベーヌ弦楽四重奏団の新体制
ピエール・コロンベ(ヴァイオリン) Pierre Colombet, violin
ガブリエル・ル・マガデュール(ヴァイオリン) Gabriel Le Magadure, violin
マリー・シレム(ヴィオラ) Marie Chilemme, viola
岡本侑也(チェロ) Yuya Okamoto, cello

エベーヌ弦楽四重奏団 公式コメント
今日、私達は我らの親愛なるチェロ奏者、ラファエル・メルランに感謝の意を表します。彼は私達と25年近くを共にした後、自らの音楽の旅路へと乗り出そうとしています。
ラファエル、貴方の旅立ちを見送ることに深く心を動かされますが、
ほぼ四半世紀を共に過ごせたことは私達にとって最大の喜びでした。

そして今、岡本侑也さんをエベーヌ弦楽四重奏団に迎えられることを嬉しく、誇りに思います。
彼は並外れた音楽家であるだけでなく、私達のグループに多くの幸せをもたらしてくれます。
侑也、私達は貴方との喜びに満ち、刺激的で、野心的な音楽での出会いを楽しみにしています!
メロス・アーツ・マネジメントのウェブサイトより転載)

 岡本を含め4人のメンバーは、日本の音楽ファンに向けて全員日本語で(!)動画メッセージを寄せている。次回の来日予定は2025年3月、ベルチャ弦楽四重奏団との八重奏とのことだが、岡本の凱旋ツアーともなるだけに、ひときわ注目を集めそうだ。

左より)ピエール・コロンベ、ガブリエル・ル・マガデュール、マリー・シレム、岡本侑也

Quatuor Ébène
https://www.quatuorebene.com