世代の異なる二人が手を携え高みを目指す
19世紀の伝説的ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムにちなんで創設された難関ヴァイオリン・コンクールであるハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールにおいて史上最年少の16歳で優勝し鮮烈なデビューを飾った三浦文彰。その後も確かな演奏技術と幅広い人気を背景に国内外で着実にキャリアを積み、2023年の2〜3月にはウィーン、パリ、日本、ソウルでの連続リサイタルで大きな成果を挙げた。デビューから15年の節目となる2024年、三浦はヴァイオリニストにとっての聖典ともいえるベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ」全10曲の連続公演(全3回)という新たな挑戦を東京、大阪でスタートさせる。正統派ヴァイオリニストとしてさらなる成熟を遂げんとする高らかな決意表明といえるだろう。第1回公演には、ベートーヴェンがウィーンに進出して数年が経ち、音楽家としての活動が軌道に乗った30歳前後に相次いで書かれた瑞々しい作品群である第1番、第2番、第4番、そして名作第5番「春」が並ぶ。
ピアノを務めるのは清水和音。日本を代表するピアニストとして常に演奏の場に立ち続ける一方、桐朋学園大学で若手の育成にも長く携わる。「ベートーヴェンのソナタ・ツィクルスのピアニストは、迷いなく和音さんしかいないと思っていた」との言葉通り、三浦の音楽性を十全に引き出し得る理想的パートナーだろう。彼らの目指す「現代最高のベートーヴェン」の開幕が待たれる。
文:近松博郎
(ぶらあぼ2024年1月号より)
2024.2/12(月・祝)14:00 サントリーホール
問:サンライズプロモーション東京0570-00-3337
https://sunrisetokyo.com
2024.3/16(土)14:00 大阪/ザ・シンフォニーホール
問:ABCチケットインフォメーション06-6453-6000
https://www.asahi.co.jp/symphony/