親密な空間で実現する唯一無二のコラボレーション
港の見えるコンサートホールである神奈川県民ホール。その小ホールには1975年の開館時からパイプオルガン(ドイツ、クライス社製)が設置されている。客席数433という小さなホールにパイプオルガンがあるのは全国的にも珍しく、大ホールで聴くパイプオルガンとは違う親密さを感じることができる。2021年から神奈川県民ホールのオルガン・アドバイザーとなった中田恵子は、そのホールとパイプオルガンの特性を活かしたコンサートシリーズ「オルガン avec シリーズ」を展開中だ。
vol.2では「オルガン avec バレエ」と題して、ゲストに横浜バレエフェスティバル芸術監督などを務める遠藤康行を迎え、彼の振付により、新国立劇場バレエ団のプリンシパルとして活躍する渡邊峻郁(たかふみ)らがオルガンの演奏とともに踊る。
「舞踏を伴う時、音楽はBGMになってしまうのか?」という疑問を持ちながら、この親密な空間で音楽とバレエのマッチングを試みたいと考えた中田。2部に分けられたコンサートでは、中世から20世紀まで、幅広い時代の音楽が選ばれている。チャイコフスキーの「眠れる森の美女」など、バレエのために書かれた作品もあるが、パッヘルベルの「カノン」、ガーシュウィンの「アイ・ゴット・リズム」なども取り上げられる。おそらく多くの方にとってオルガンとバレエの組み合わせは初めての体験だろう。終演後には中田と遠藤のアフタートークもあり、どんな話が飛び出すか、楽しみである。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2024年1月号より)
2024.2/10(土)15:00 神奈川県民ホール(小)
問:チケットかながわ0570-015-415
https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/