久石 譲(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

作曲家の視座がもたらす名曲の清新さを味わう

久石 譲 ©Nick Rutter

 スタジオジブリなどの映画音楽の作曲で知られ、新日本フィルハーモニー交響楽団のMusic Partnerを務める久石譲が「すみだクラシックへの扉」に登場し、ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」を指揮する。

 「春の祭典」は、斬新な管弦楽法、大胆な不協和音、刺激的なリズムによって、クラシック音楽の世界に革命をもたらしたが、ミニマル・ミュージックに傾倒してきた久石は、この作品のリズムの構造に注目するという。21世紀の作曲家の視点で捉え直した「春の祭典」がどのようなものになるのか、大いに期待される。そして、この難曲での彼の指揮も注目である。また、前半に演奏されるのは、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。久石は、古典派の作品においてピリオド奏法的なアプローチを採り入れてきたが、この古典派交響曲の最高峰というべき作品ではどのような解釈を示してくれるのだろうか。音楽の歴史を変えたともいえる、ストラヴィンスキーとモーツァルトの傑作が久石譲によってどう捉えられ、新日本フィルとともにどう再現されるのか、興味津々である。

 そのほか、演奏会の冒頭では、自作の「I Want to Talk to You -for string quartet, percussion and strings-」が取り上げられる。2021年3月に久石&日本センチュリー交響楽団によって初演された作品。弦楽四重奏がフレーズの断片を絡めていき、それに弦楽合奏と打楽器が加わる。ミニマル・ミュージック的な繰り返しもある。新日本フィルのメンバーによる弦楽四重奏も楽しみ。
文:山田治生
(ぶらあぼ2024年1月号より)

すみだクラシックへの扉 第20回
2024.2/16(金)、2/17(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp