びわ湖ホール ジルヴェスター・コンサート 2023

開館25周年の締めにふさわしい豪華プログラム!

上段左より:キンボー・イシイ ©白土吉枝/福間洸太朗 ©T.Shimmura/砂川涼子 ©Yoshinobu Fukaya
下段左より:清水徹太郎/山本康寛/桂米團治

 今年開館25周年を迎えたびわ湖ホールで、オープンした年末の1998年12月から毎年開かれてきた「びわ湖ホール ジルヴェスター・コンサート」が26回目の開催となる。当初は日をまたいでの年越しコンサートだったが、コロナ禍と鉄道の深夜運転が取りやめになったのを契機に、2020年から15時開演に変更。交通の関係でこれまで足を運ぶことが難しかった滋賀県北部からの来館も増えたそうだ。今年もマチネー公演は継続になった。

 キンボー・イシイ指揮の大阪交響楽団が出演。キンボーはびわ湖ホール芸術監督の阪哲朗の推薦で同ホールに初登場する。これまでドイツのマクデブルグ歌劇場で音楽総監督を務めたほか、国内外の各オーケストラに客演してきた。大阪交響楽団とはかつて首席客演指揮者を務めた旧知の仲だ。メイン・プログラムは来年に生誕200年を迎えるスメタナのオペラ《売られた花嫁》のハイライトをドイツ語歌唱で。びわ湖ホールでもお馴染みのソプラノの砂川涼子を迎えて、びわ湖ホール声楽アンサンブルと、テノールの清水徹太郎、山本康寛という同アンサンブル・ソロ登録メンバーの二人、そして一般公募約70名のジルヴェスター合唱団が加わる。

 《売られた花嫁》は1866年にプラハで初演された喜劇。農夫の娘マジェンカにはイェニークという恋人がいたが、地主ミーハの息子ヴァシェクと結婚させられそうになる。結婚仲介人が大金を持ってイェニークのもとへ行き、彼にマジェンカから手を引くことを要求すると、イェニークは「マジェンカはミーハの息子以外とは結婚しない」という条件をつけて承諾し、村人にひんしゅくを買う。ここが題名の由来だ。イェニークは行方不明になっていた地主の先妻の息子とわかり、マジェンカと結ばれてハッピーエンドとなる。

 コンサートの幕開けは、一般公募のジルヴェスター・ファンファーレ隊約20名が参加して、デュカス『ラ・ペリ』のファンファーレで。続いて、今年生誕150年のラフマニノフの名曲、ピアノ協奏曲第2番が福間洸太朗のピアノ独奏で華麗に奏でられることだろう。そしてコンサートの最後を締めくくるのは、今年92歳で亡くなった外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」。1960年に行われたNHK交響楽団の世界一周演奏旅行のアンコール・ピースとして書かれたものだが、作曲家としての外山の最もよく知られた作品だ。「あんたがたどこさ」「ソーラン節」「炭坑節」「串本節」「八木節」と次々に民謡が登場して、拍子木、うちわ太鼓、締太鼓、チャンチキ、鐘や鈴など、日本の打楽器が活躍する。最後の「八木節」での盛り上がりは圧巻だ。この日演奏する大阪交響楽団で晩年にミュージックアドバイザーを務め、その後は名誉指揮者となった外山への追悼となる。思い入れ深く奏でられて、来る2024年への期待も込めた大団円となること必至だ。司会はこのコンサートに恒例の桂米團治が賑々しく務める。
文:小味渕彦之
(ぶらあぼ2023年12月号より)

2023.12/31(日)15:00 びわ湖ホール 大ホール
問:びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 
https://www.biwako-hall.or.jp/