“最後”の来日を果たしたニコラウス・アーノンクール(1929〜)が、10月25日に都内のホテルで会見を開いた。
「ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(WCM)とアーノルト・シェーンベルク合唱団と共に再び日本に来ることができてうれしく思います。今回のプログラムは管弦楽作品と合唱のための偉大な作品を選び、3つのプログラムを組みました。J.S.バッハの『ロ短調ミサ』は私にとって特別な作品であり、ハイドンの『天地創造』はクラシック音楽の最高傑作の一つです。モーツァルトでは、たとえば“三大交響曲”に比べそれほど有名ではない『ハフナー』と『ポストホルン』という管弦楽作品を2つ選びました。2つとも“別れ”というテーマを持っており、日本での最後の公演に相応しいと思っています」
また自身の古楽の解釈について
「バロック時代の彫刻や絵画はエキサイティングなのに、バロック音楽は退屈なものと思われていました。昔使用されていた楽器を使い現代の人々に向けて生き生きと演奏をしたかった」とコメント。WCMとの今後の活動についてはモンテヴェルディの『聖母マリアの夕べの祈り』、ヘンデル《ロデリンダ》を演奏する予定と発言。
「私は古楽器の“スペシャリスト”ではありません。音楽全体の良さを見失ってしまうので“スペシャリスト”になってしまうのは危険です。演奏家はあらゆる音楽のスタイルに対してオープンであるべきです。たとえば、1つのオーケストラに古楽器とモダン楽器を演奏するグループ、そして現代音楽に力を入れているグループがあるというのが、ある意味理想かもしれません」とユニークな見解を述べた。