第16回ショパン国際ピアノ・コンクール2010 最終審査結果

 ポーランドのワルシャワで5年に一度行われる「ショパン国際ピアノ・コンクール」の審査結果が10月20日に発表された。世界的に権威のあるコンクールで、特に今回はショパン生誕200年の記念年での開催ということもあり、注目度はいっそうの高まりをみせた。出場者のレベルは総じて高く、本選ではロシア勢の活躍が目立つ大会となった。アジア人の入賞者はなかった。結果は以下の通り。

第1位:ユリアンナ・アヴデーエワ(25歳 ロシア)
第2位:ルーカス・ゲニューシャス(20歳 ロシア/リトアニア)
第2位:インゴルフ・ヴンダー(25歳 オーストリア)
第3位:ダニール・トリフォノフ(19歳 ロシア)
第4位:エフゲニー・ボジャノフ(26歳 ブルガリア)
第5位:フランソワ・デュモン(25歳 フランス)
第6位:該当者なし

 マルタ・アルゲリッチ以来、実に45年ぶりの女性優勝者となったアヴデーエワは、グネーシン音楽学校でエレーナ・イヴァノワの下でピアノを学びはじめ、グネーシン・アカデミーで高名なウラディーミル・トロップ教授に指導を受けた。2006年のジュネーブ国際コンクールでの優勝をはじめ、数々のコンクールで高い成績を残している。今回は「ソナタ賞」も併せて受賞した。
 第2位はルーカス・ゲニューシャスとインゴルフ・ヴンダーの2人。ゲニューシャスはモスクワ音楽院でヴェラ・ゴルノスタエヴァに師事。07年にはスコットランド国際ピアノ・コンクールで第2位となっている。バロックから現代までの広いレパートリーを持つ。ポロネーズ賞を受賞。ヴンダーはオーストリアのクラーゲンフルト出身。オーストリア人の入賞は1932年の第2回以来。ウィーン音楽芸術大学を卒業後、アダム・ハラシェヴィッチに師事している。すでにヨーロッパ各地で演奏活動を開始しており高い評価を受けている。コンチェルト賞のほかに今回から新設された「幻想ポロネーズ賞」が贈られている。
 第3位のトリフォノフはグネーシン音楽院とクリーヴランド音楽院でピアノと作曲を学んだ。2006年に北京でのロシア国際ショパン・コンクールで第3位、08年のサン・マリノ国際ピアノ・コンクールで第1位となっている。マズルカ賞を受賞している。
 第4位のボジャノフは今年のエリザベート国際コンクールで第2位、09年のヴァン・クライバーン国際コンクールのファイナリストでもある。
 第5位のデュモンはパリ国立高等音楽院でブルーノ・リグットに師事し、07年のエリザベート国際コンクールや09年浜松国際ピアノコンクールで優秀な成績を残している。
 今回からショパン国際ピアノ・コンクールのサイト上で出場者の演奏の模様を動画で観ることができるのと、審査結果の得点も公開するなど、新しい試みが導入されているのも注目される。関心のある方はぜひご覧いただきたい。
 またアヴデーエワがヤマハのピアノ『CFX』を使用したことも大きな話題となった。ショパン・コンクールの歴史のなかで、日本のピアノを弾いて優勝者が出たのはこれが初となる。
 なお、ボジャノフを除く入賞者5人が、2011年1月に行われる「ショパン国際ピアノ・コンクール2010入賞者ガラ・コンサート」に出演することが決定した。共演はアントニ・ヴィット指揮のワルシャワ国立フィル。東京・Bunkamuraオーチャードホール(1/22、1/23)他、全6都市での開催。演目などの詳細は後日発表される。
問:ジャパン・アーツぴあ03−5237−7711
ショパン・コンクール2010公式サイト(英語)