近藤伸子 ベートーヴェンシリーズ Ⅵ “Waldstein”

中期ソナタの傑作群を珠玉のチェロ作品とともに

 シュトックハウゼンをはじめとする現代曲や新曲初演、そしてバッハのスペシャリストとして知られるピアニストの近藤伸子。国立音楽大学教授として後進の指導にあたりながら、近年は特にベートーヴェンに力を入れ、演奏・研究の両方からこの作曲家に向き合ってきた。2019年からはベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏シリーズを開始しており、本公演はその第6弾となる。

 今回選ばれたのは全曲“タイトルつき”のソナタで、第12番「葬送」、第15番「田園」、そして第21番「ワルトシュタイン」だ。いずれもベートーヴェンの中期にあたるソナタであり、彼が新たな形式や技法の開拓を目指し生み出された意欲作である。近藤の卓越した技術と楽曲に深く迫る解釈によって、どのように奏されるか期待が膨らむ。また、今回はチェリストの河野文昭を迎えてのチェロ・ソナタ第5番の演奏も行われ、様々な角度からベートーヴェンに迫ることのできる公演となっている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年11月号より)

2023.11/16(木)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京コンサーツ03-3200-9755
https://www.tokyo-concerts.co.jp