ダブルリードの名手による華麗なるコンチェルト
1年に4回開催される定期演奏会のうち、1回をオーケストラ編成のプログラムにあててきたアンサンブル of トウキョウ。紀尾井ホールを舞台とする10月27日の第149回演奏会では、指揮者なしで4つの作品を取り上げる。
まず目をひくのが、ダブルリード楽器が主役となる2つの協奏曲だ。元・NHK交響楽団首席奏者の青山聖樹が、長年の研究対象としてきた(2020年に音楽之友社から出版されたスコアにも解説を寄せている)リヒャルト・シュトラウスのオーボエ協奏曲を吹くとなれば、心して耳を傾けたい。そしてウェーバーのファゴット協奏曲で妙技を披露するのは、サイトウ・キネン・オーケストラや水戸室内管弦楽団への客演でもおなじみ、今やヨーロッパの管楽器界でも重鎮の域に達したダーク・イェンセン。
青山とイェンセンがハイドンの協奏交響曲で共演を果たすとなれば、これまた聴き逃せない。共に愛用するのはドイツの工房GEBR.メーニッヒの銘器。親和性に富むサウンドによる麗しい音楽的対話が繰り広げられることだろう。同じハイドンでヴァイオリンの玉井菜採、チェロの河野文昭が独奏陣に加わるのも盤石のキャスティングだ。さらには玉井と、ヴァイオリンの戸原直、ヴィオラの大野かおる、コントラバスの渡邉玲雄が独奏楽器グループをなすモーツァルトの「セレナータ・ノットゥルナ」が、一夜の演目に彩りを添える。メンバー各人がソロイストの技量を持つ団体でこそ可能な、密度の濃いステージである。
文:木幡一誠
(ぶらあぼ2023年9月号より)
2023.10/27(金)19:00 紀尾井ホール
問:アンサンブル of トウキョウ事務局045-595-0223
https://www.ensembleoftokyo.com