精鋭ぞろいのアンサンブル of トウキョウから木管奏者の名手が集まった演奏会で、様々な編成の三重奏曲4曲他をライブ収録。バルトーク「コントラスツ」は、作曲者晩年の自在な境地に戦争の影がさす。〈徴兵の踊り〉は、不気味な緊縛感に、虚無的で奇妙な感覚が入り込む。〈急速な踊り〉ではヴァイオリンもクラリネットも攻めの姿勢でノリがよく、奇怪で楽しい。サン＝サーンス「奇想曲」は、デンマークとロシアの主題が変奏されるが、それぞれのソロが華麗で、全体としても実に鮮やかだ。ドニゼッティはまるでオペラの二重唱のよう。プーランクはエスプリが効いて、お茶目で楽しい。
文：横原千史
（ぶらあぼ2023年6月号より）
【information】
SACD『アンサンブル of トウキョウ ライヴ 2022 夏』
バルトーク：ヴァイオリン クラリネット ピアノのためのコントラスツ／プーランク：ピアノ オーボエ バソンのための三重奏曲／サン＝サーンス：デンマークとロシアの歌による奇想曲 他
アンサンブル of トウキョウ
【青山聖樹（オーボエ） 村上成美（フルート） ローベルト・ボルショス（クラリネット） フランク・フォルスト（ファゴット） 山田麻実（ヴァイオリン） 梅村祐子（ピアノ）】
収録：2022年7月、王子ホール（ライブ）
オクタヴィア・レコード
OVCC-00169 ￥3520（税込）