「ハイドンなんて、つまらない」。そんなことを決して言わせまいと、覇気あふれる快演で、その交響曲の魅力を伝えている日本センチュリー交響楽団の「ハイドンマラソン」。首席指揮者の飯森範親のもと、全104曲を8年かけて上演、併せてCD収録を行うという、2015年にスタートした壮大なプロジェクトだ。第19弾となるCDでは、三部作の最終作・第8番「晩」をはじめ、エステルハージ宮廷楽団時代の作品を収録。清冽で端正ながらも、ハイドンが曲の随所に仕込んだ音楽的かつ知的な“遊び”もつぶさに掬い取られてゆく。「晩」の緩徐楽章など、各楽器のソロの美しさも際立っている。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2023年5月号より)
【information】
SACD『ハイドン:交響曲集 Vol.19/飯森範親&日本センチュリー響』
ハイドン:交響曲第46番 ロ長調、同第34番 ニ短調、同第8番 ト長調「晩」
飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団
収録:2020年10月、ザ・シンフォニーホール 他(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00806 ¥3520(税込)