【CD】ベートーヴェン弦楽四重奏曲 全集I/ひばり弦楽四重奏団

 漆原啓子が中心になって結成されたひばり弦楽四重奏団は、2019年から6年がかりでベートーヴェンの全曲演奏に取り組んだ。全集Iは作品18の6曲を収めた。古典派的なバランス感覚を残しながらも、ベートーヴェンの独創的なアイディアを自在なアンサンブルが可視化していく。ベースとなるタッチをしっかり揃えた上で、メロディラインを浮き立たせながらホモフォニックに進んだかと思えば、ポリフォニックな場面ではそれぞれの声部が主張して緊張が生み出される。しかしその緊張も明るく爽やかに回収される。こうした濃淡が織りなす軽やかで大胆な秩序こそ、初期ベートーヴェンの特性だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2026年2月号より)

【information】
CD『ベートーヴェン弦楽四重奏曲 全集I/ひばり弦楽四重奏団』

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番〜第6番 op.18

ひばり弦楽四重奏団
【漆原啓子 漆原朝子 直江智沙子(以上ヴァイオリン) 大島亮(ヴィオラ) 辻本玲(チェロ)】

日本アコースティックレコーズ
NARD-5091/2(2枚組) ¥4400(税込)