オーケストラ・ニッポニカは社会における音楽の意味を実践的に問い続けた作曲家・芥川也寸志の志を継いで設立された。本盤はその成果である。芥川の特徴は洗練されたシティ感覚という文脈で理解されがちだが、事態はそんなに単純ではない。交響曲第1番は西欧音楽をどう咀嚼するかという問いへの回答。父親の小説に付曲した舞踊組曲「蜘蛛の糸」や、佐藤晴真が独奏を務める「チェロとオーケストラのためのコンチェルト・オスティナート」といった収録作の荒々しく無骨で、時に不気味ですらある反復音型に、彼は自分の進むべき道を発見した。戦後日本という時代が刻まれた作品群だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2026年2月号より)
【information】
CD『芥川也寸志 傑作集/野平一郎&オーケストラ・ニッポニカ』
芥川也寸志:舞踊組曲「蜘蛛の糸」、チェロとオーケストラのためのコンチェルト・オスティナート、証城寺の腹づつみ〜オーケストラと狸のための〜、交響曲第1番
野平一郎(指揮)
オーケストラ・ニッポニカ
佐藤晴真(チェロ)
菅原淳(ティンパニ)
収録:2025年4月、日本製鉄紀尾井ホール(ライブ)
妙音舎
MYCL-00068 ¥3410(税込)



