東欧の名作と秘曲を俊英コンビで
このところ、将来有望な若手の外国人が首席客演指揮者を務めているオーケストラが増えている。都響のヤクブ・フルシャ、日本フィルのピエタリ・インキネン、そして、東響のクシシュトフ・ウルバンスキ、といったぐあいだ。
ウルバンスキは1982年ポーランド生まれ、2009年に初めて東京交響楽団の指揮台に招かれると、2年後にも再登場、その力強い指揮ぶりが評判となって、昨年4月に首席客演指揮者となった。海外ではアメリカのインディアナポリス交響楽団の音楽監督のほか、ベルリン・フィルなど世界の一流オーケストラにも客演の機会を増やしていて、雄飛を期待される存在だ。
今回の曲目は、同じポーランドの作曲家2人とチェコ1人という、東欧プログラム。キラルの交響詩「クシェサニ」は、ミニマル風の芸術音楽だけでなく映画音楽(『戦場のピアニスト』や『ドラキュラ』など)でも実績を残して昨年亡くなったこの作曲家の作品のなかでも人気の高いもの。ルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲は、初期の代表作。ポーランド民謡の旋律を活かしながら複雑な語法で書かれた、指揮者にとってもオーケストラにとっても腕のみせどころの多い作品である。
そうしてもう一つの聴き所は、庄司紗矢香の弾くドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲だろう。庄司の伸びやかで艶のある音色は、この作品にぴったりのはず。1歳上の指揮者との俊英コンビがどんな音楽を聴かせるか、楽しみだ。
文:山崎浩太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年10月号から
第624回 定期演奏会
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