巨匠とコンクール覇者の若き新鋭が夢の共演
東京フィルハーモニー交響楽団の2月の定期演奏会で、特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフ、22年の第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで史上最年少(18歳)の優勝を果たして聴衆賞、最優秀新曲演奏賞も受けた韓国の新鋭イム・ユンチャンの共演が実現する。プレトニョフ自身も1978年の第6回チャイコフスキー国際コンクールに優勝したピアニストであり、2006年9月にはドイツ・ボンのベートーヴェンフェストでベートーヴェンの「ピアノ協奏曲全集(第1番〜第5番「皇帝」)」をライブ録音している。ユンチャンを独奏に迎えた「皇帝」でもピアニスト、指揮者それぞれの豊かな経験を反映した「音の絨毯」を用意することだろう。
ユンチャンは2004年3月20日、韓国始興(シフン)市の生まれで「若い」のは事実だが、22年12月3日、サントリーホールの日本初リサイタルでは時代や様式に至るまで考え抜かれたプログラミングやコントロールの行き届いたタッチなどを通じ、もはや真のプロフェッショナルな演奏家の域に到達していた。
一方、チャイコフスキーの交響曲は指揮に進出して間もない頃からプレトニョフの「おはこ」。多くの指揮者が番号付きの6曲、あるいは第4番〜第6番「悲愴」の後半3曲しか取り上げないなか、プレトニョフは「マンフレッド交響曲」にも強い愛情を示してきたので、円熟の解釈を期待できる。
文:池田卓夫
(ぶらあぼ2023年2月号より)
第152回 東京オペラシティ定期シリーズ
2023.2/22(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
第980回 サントリー定期シリーズ
2/24(金)19:00 サントリーホール
第981回 オーチャード定期演奏会
2/26(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール
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