阪田知樹 横山幸雄 アレクサンダー・ガヴリリュク ブルース・リウ

新世代の若手からベテランまで、“四者四様”の個性を楽しむ

 2023年が幕を開けると、ピアノを愛する人にとって嬉しい公演が目白押し。ピアノという楽器を自在に操り、多彩な音色と表現によって聴き手を魅了する4人のピアニストによるリサイタルが一気に続くのだ。いずれも世界的に活躍する個性豊かな奏者ばかりで、プログラムも彼らの魅力を存分に発揮するものである。お気に入りのピアニストの公演に出かけるのはもちろん、ぜひ全公演を楽しんでいただき、改めてピアノという楽器の魅力と可能性を体感してほしい。

充実の時を迎える若き才能の現在地

 最初を飾る1月27日は、2016年にフランツ・リスト国際ピアノコンクールで優勝し、21年にエリザベート王妃国際音楽コンクールにて第4位入賞を果たした阪田知樹のリサイタル。あらゆる楽曲を透明感のある美しい音色で自在に弾きこなすだけでなく、自ら作・編曲もこなす新時代の音楽家である彼が挑むのは、ベートーヴェンの「熱情」、ショパンのピアノ・ソナタ第3番をはじめ、ラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」などが並ぶ“王道”プログラムだ。自ら編曲したバッハの「アダージョ」で始まるリサイタルは、阪田が大切にしてきた作品ばかり。東京オペラシティコンサートホールに彼の美音が名曲とともに響きわたる。

自作曲もまじえた豪華プログラム

 2月5日は、名実ともに日本を代表するピアニストの筆頭に挙げられる横山幸雄のリサイタル。1990年のショパン国際ピアノコンクールでの第3位入賞以降、常に時代をリードするピアニストとして、確かな技術、スケールの大きな音楽を幅広いレパートリーで聴かせてきた。リニューアルした横浜みなとみらいホールで披露するのは、ベートーヴェンにショパン、リストといった横山の“十八番”をはじめ、生誕150年を迎えるラフマニノフや、近年演奏会で度々披露され人気を博している自作「オマージュ・ア・ラフマニノフ〜 “ヴォカリーズ”」も加えられた豪華プログラムだ。ロマンティックな“音楽の旅”を堪能できることだろう。

珠玉の名曲で彩る5年ぶりのリサイタル

 3つ目となる2月21日は、アレクサンダー・ガヴリリュクによる5年ぶりの来日リサイタル。2000年の浜松国際ピアノコンクールでの優勝は多くの日本の聴衆から注目を集め、そこから一気に国際的な目覚ましい活躍を続けるトップ・ピアニストとなった。彼の精密なコントロールによるタッチが繰り出す演奏は色彩に溢れており、楽曲の構造、魅力を鮮やかに表現してくれる。久しぶりの来日に合わせて用意したプログラムは、ベートーヴェンの「月光」ソナタにドビュッシーの「2つのアラベスク」など、珠玉の小品集のようでありながら、最後にラフマニノフの大曲ピアノ・ソナタ第2番が置かれる緩急に富んだもの。改めてこのピアニストの底力と魅力を味わえるはずだ。

ショパンコンクールを制した圧巻の演奏を再び

 2月に2公演(21日、24日)を行うのはブルース・リウ。2021年、これまでの歴史の中でも特に注目を集める回となった第18回ショパン国際ピアノコンクールで、圧倒的なパフォーマンスで優勝を果たした彼の再来日公演である。世界各地でリサイタルツアーを行いながらそのテクニックと音楽性にさらに磨きをかけている演奏を、再び生で聴くことのできるチャンスだ。コンクールでも披露したショパンの「“お手をどうぞ”の主題による変奏曲」と、リストの「ドン・ジョヴァンニの回想」を中心としたリウのヴィルトゥオジティを活かした華麗なプログラムであると同時に、かねてから演奏を希望していたラモーも並んでおり、彼の新たな一面に出会えることだろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2023年1月号より)

阪田知樹 ピアノ・リサイタル 
2023.1/27(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール


横山幸雄 ピアノ・リサイタル 
2023.2/5(日)13:30 横浜みなとみらいホール


アレクサンダー・ガヴリリュク ピアノ・リサイタル 
2023.2/21(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール


ブルース・リウ ピアノ・リサイタル 
2023.2/21(火)19:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
2/24(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール


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