北欧から卓越した才能がまた一人
若手指揮者の台頭が著しい。オーケストラも、豊かな才能の中から自分たちのカラーにマッチした指揮者をいち早く見つけ出したいという思いは強いだろう。
この10月の東京交響楽団では、次の時代を担う才能の競演が楽しめそうだ。フレッシュで切れのよい解釈を聴かせる飯森範親を筆頭に、首席客演指揮者のウルバンスキ(1982年生まれ)、そしてここで紹介するサントゥ=マティアス・ロウヴァリ(85年生まれ)が次々に指揮台へ立つ。
ロウヴァリは、これまた近年多くの指揮者を輩出しているフィンランドの有望株だ。首席指揮者を務めるタンペレ・フィルは、フィンランド湖水地方のタンペレで設立され、すでに80年の伝統を誇る。アソシエーション・アーティストとしてかかわっているタピオラ・シンフォニエッタは同国第二の都市エスポーに本拠地を置く室内オーケストラだ。コペンハーゲン・フィルでは首席客演指揮者も務め、すでに北欧では名前が知られている指揮者といえる。客演では世界中のオーケストラを振っており、2012年の東響初登場でも大きな反響を呼んだ。
2回目となる今回の共演では「古典交響曲」「ロミオとジュリエット」など、オール・プロコフィエフ・プログラムを聴かせてくれるが、今回もう一つ注目したいのが「ヴァイオリン協奏曲第2番」を弾くマイケル・バレンボイムだ。ウェスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラのコンサートマスターとしてキャリアをスタートさせているが、現代曲にも鋭いアプローチを見せる。クラシック愛好家なら誰もが知っている父親ダニエルの才能を十二分に受け継いだ新星だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年8月号から)
第623回 定期演奏会 10/4(土)18:00 サントリーホール
第47回 川崎定期演奏会 10/5(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
問:TOKYO SYMPHONYチケットセンター 044-520-1511
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