横浜音祭り2022「横浜18区コンサート」9月公演の聴きどころ

俊英たちによる室内楽の名曲を、身近なホールで聴く

文:林昌英

 横浜市を挙げて開催される文化芸術フェスティバルの音楽編「横浜音祭り」。日本最大級規模の音楽祭であるが、特に地域性を活かしているのが市内全18区の文化施設で開かれる「横浜18区コンサート」である。6月から10月まで全18公演、横浜ゆかりの演奏家たちが出演。しかもソリスト+室内楽という編成で、小中規模施設でも演奏可能なため、市民に限らず多くの聴衆がその楽しさを味わえる、広く注目を集めるコンサートとなっている。

左より:毛利文香(c)Hisashi Morifuji、周防亮介(c)TAKUMI JUN、大江馨(c)Shigeto Imura、小林海都(c)Tsutomu Yagishita

 9月の6公演は面白い企画が用意された。特に19日から21日の3日間はユニーク。それぞれ港南区、旭区、青葉区でショーソン「ヴァイオリンとピアノと弦楽四重奏のためのコンセール(協奏曲)」が演奏される。ピアノの小林海都と神奈川フィルメンバーによる弦楽四重奏団は3日間共通だが、ヴァイオリンのソリストだけは毎日変わり、それぞれ毛利文香、周防亮介、大江馨という活躍顕著な俊才たちが登場するのだ。六重奏編成ながらヴァイオリンとピアノがソリストとなる協奏曲スタイルをもつ名品で、毎日違う個性を楽しめる。どの日もお勧めになるし、可能なら聴き比べもしたい。ショーソン以外は各日違うヴァイオリン名曲が聴けるのも嬉しい。

左:山根一仁(c)K.MIURA 右:阪田知樹(c)HIDEKI NAMAI

 26日から28日は、栄区、保土ケ谷区、金沢区で、ヴァイオリン山根一仁とピアノ阪田知樹という人気アーティストたちの贅沢なデュオ。気鋭の作曲家、稲森安太己の「Motus intervallorum」(Just Composed 2020 Winter委嘱作品)、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番ほかの本格的なプログラムで、こちらは3日間共通。二人の才人がじっくりと突き詰めた世界を聴かせる。

■横浜18区コンサート
9月公演

各回15:00開演

●料金
各¥3,000

2022.9/19(月・祝)港南区/港南区民文化センター ひまわりの郷
●出演
毛利文香(ヴァイオリン)× 小林海都(ピアノ)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団メンバー(弦楽四重奏)
●曲目
ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ、美しい夕暮れ
ショーソン:ヴァイオリンとピアノと弦楽四重奏のためのコンセール


9/20(火)旭区/旭区民文化センター サンハート
●出演
周防亮介(ヴァイオリン)× 小林海都(ピアノ)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団メンバー(弦楽四重奏)
●曲目
エルンスト:夏の名残りのバラ
タレガ:アルハンブラ宮殿の思い出(ルッジェーロ・リッチ編)
パガニーニ:「うつろな心」の主題による序奏と変奏曲
ショーソン:ヴァイオリンとピアノと弦楽四重奏のためのコンセール
出演者変更のお知らせ(7/13)


9/21(水)青葉区/アートフォーラムあざみ野 レクチャールーム
●出演
大江馨(ヴァイオリン)× 小林海都(ピアノ)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団メンバー(弦楽四重奏)
●曲目
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 ニ短調 BWV 1004
ショーソン:ヴァイオリンとピアノと弦楽四重奏のためのコンセール


9/26(月)栄区/栄区民文化センター リリス
9/27(火)保土ケ谷区/岩間市民プラザ
9/28(水)金沢区/金沢公会堂

●出演
山根一仁(ヴァイオリン)× 阪田知樹(ピアノ)
●曲目
フローラン・シュミット:ワルツ・ノクターン 第1番 op.31-1
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、高雅で感傷的なワルツ
稲森安太己:Motus intervallorum(Just Composed 2020 Winter委嘱作品)
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ長調 op.94bis

横浜音祭り2022
2022.9/17(土)〜11/6(日) 横浜市内全域〈横浜の“街”そのものが舞台〉

問:横浜音祭りチケットセンター045-453-5080
※公演の最新情報は、公式ウェブサイトをご確認ください。