将来を嘱望される若手演奏家のいまに触れる〜「スカラシップ コンサート」が今夏、京都と東京で開催

2021年のスカラシップ コンサートより

 毎年夏の風物詩ともなった「ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート」。今年も京都と東京で7月30日から8月27日まで9公演が開催される。将来を嘱望される優秀な奨学生による室内楽や声楽曲で、瑞々しい演奏が期待できる。

 公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーションは、1991年の創設から、音楽文化の普及・発展のため、国内外の教育機関で学ぶ音楽学生に、奨学金(月額30万円、原則1年間)を支給する制度を実施してきた。スカラシップ コンサートは、この選考に選ばれた俊英たちによる研鑽の発表の場であり、聴き手は次代を担う若手演奏家に触れる良い機会となる。

 これまでの奨学生では、ピアノの萩原麻未、ヴァイオリンの成田達輝、チェロの岡本侑也ら、国際コンクールで成果をあげ、今や日本を代表する若手演奏家たちも少なくない。その奨学生が出演するスカラシップ コンサートには、いやがうえにも注目が集まる。演奏家の組み合わせは、コンサートごとに異なり、一期一会のここでしか聴けない特別な演奏会となる。

2021年のスカラシップ コンサートより

 今年のスカラシップ コンサートは、無観客開催(後半日程のみ)の昨年とは異なり、ホールで実演に触れることができる。新進気鋭の覇気ある演奏を大いに楽しみたい。全公演オンラインのライブ配信も実施され、チケットを購入すればライブを視聴できる。またアーカイブ配信もある。

 2022年度のテーマは「希望と勇気」。ウクライナ侵攻でくじけそうになった平和への希求は、真摯に演奏に込められることと思われる。またコロナ禍で様々な制約を受けながら、音楽家としての矜持と勇気のある演奏活動を若者たちは身をもって示してくれるだろう。

 このテーマに沿って、演奏者が一番弾きたい、歌いたい曲をチョイスし、腕によりをかけてその実力を最大限に披露する。プログラムにウクライナ出身のグリエール、プロコフィエフやシマノフスキの作品が含まれていることも演奏者たちの気概の表れであろう。

 昨年に引き続き、演奏家のみならず作曲家と音楽学者も参加する。作曲家の小野田健太、向井航、向井響、中橋祐紀が新作を発表し、山本明尚が音楽学研究の成果をプログラム・ノートに書く。

 このように多様で多彩な才能に満ち溢れた参加者でひしめくスカラシップ コンサート。今年はどんな才人に出会えるか、どんな溌溂とした演奏を聴けることか、楽しみは尽きない。
文:横原千史

2021年のスカラシップ コンサートより

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Information

ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート 
〜希望と勇気〜 


《京都公演》 
2022.7/30(土)14:00 19:00、7/31(日)15:00、8/19(金)18:30、8/21(日)14:00 19:00 
京都府立府民ホール アルティ
《東京公演》 
2022.8/7(日)15:00、8/27(土)14:00 19:00 
浜離宮朝日ホール


問:otonowa 075-252-8255(京都) 
  1002(イチマルマルニ)03-3264-0244(東京) ※平日11:00~18:00

https://micro.rohm.com/jp/rmf/lp/scholarship_2022/
https://curtaincall.media/(配信)

※公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。