青山聖樹(オーボエ)& 玉井菜採(ヴァイオリン)

“音楽がある日常”のすばらしさを伝えたい

 アンサンブル of トウキョウは2021年、結成から35年を迎えた。ほぼ年4回のペースでこれまで141回の定期演奏会を積み重ね、多彩な編成の室内楽や小オーケストラによる高水準の演奏を聴かせている。来たる新シーズン、2022年の4回の定期について、現在代表を務めるオーボエの青山聖樹とソロヴァイオリンの玉井菜採に話をきいた。

 毎回の演目は参加メンバーと妥協なく議論して決めるとのことで、22年もメッセージ性と愉悦感が両立する、考え抜かれた演目が並ぶ。まず2月(第142回)は、ヴィオラの田原綾子をゲストに迎え、ブラームスの弦楽六重奏曲第2番をメインとする弦楽器の室内楽名曲集を。

玉井「ブラームスのすばらしい名曲に、チェロが大活躍するボッケリーニと旋律美溢れるモーツァルトのト短調の弦楽五重奏曲(第4番)という、すてきな3曲になりました」

 5月(第143回)はオール・モーツァルトの協奏曲プロで、同楽団の誇る二人のソロヴァイオリンの玉井と小林美恵、ヴィオラ大野かおる、フルート村上成美とオーボエ青山がソリストという贅沢感のある回に。

青山「コンチェルト大会です(笑) 小林さん(協奏曲第3番)、玉井さんと大野さん(協奏交響曲)のソロがまとめて聴けるのは貴重でしょう。さらに村上さんのフルートのロンドに、オーボエは私が大好きなコンサートアリア(K.538)を吹きます」

 7月(第144回)は管楽器中心の多彩な室内楽プログラム。10月(第145回)はオール・J.S.バッハで、N響首席フルートの甲斐雅之をゲストに迎え、様々な編成の楽曲が並ぶなか、中心には玉井の無伴奏ソナタ第1番が据えられる。

青山「7月は管楽器のすばらしいメンバーにヴァイオリンの山田麻実さんとピアノの梅村祐子さんで、サン=サーンスやプーランク、バルトークなど、あまり取り上げてこなかった6曲が並び、面白いものになりそうです。10月はバッハ自身の編曲作品中心という、当団らしくちょっと変わったコンセプトで」

玉井「ソナタ第1番は4つの楽章が美しい形でまとまった名作です。ソロの曲もその中でポリフォニーがあり、“一人の中のアンサンブル”が重要になります」

 新しいお客様、若い方にも聴いてほしいと語る二人。この2年を経ての深い思いと意気込みが言葉ににじむ。

青山「コロナ禍で多くの影響がありましたが、お客様も演奏会に来られず残念な思いをしたと伺っています。いまこそ“音楽がある日常”のすばらしさを伝えたい、という気持ちを込めたプログラムです」

玉井「ホールの席に座ったら、いろんな響きの音楽を聴ける、普段と違う時間を過ごせる。1年4回、それを楽しんでいただける場にしていきたいです」
取材・文:林昌英
(ぶらあぼ2022年2月号より)

アンサンブル of トウキョウ 2022定期演奏会
第142回 2022.2/15(火)

第143回 5/11(水)
第144回 7/20(水)
第145回 10/18(火)
各日19:00 東京文化会館(小) 王子ホール(第144回のみ)
問:アンサンブル of トウキョウ事務局03-3426-2010 
https://www.ensembleoftokyo.com