三浦謙司 ピアノ・リサイタル

多様な芸術性が高度に凝縮された時間

(c)Jeremy Knowles

 ロン・ティボー・クレスパン国際コンクールで優勝を飾ってから早2年。実力派として期待を寄せられている若手ピアニストの三浦謙司は、ベルリンを拠点としながら、着々と自身のキャリアについて考えを巡らせ、活動の歩を進めている。コロナ禍において立ち止まらざるを得ない時間の中にあっても、ピアニストとしての活動を長期的な展望で捉えており、この秋にはCD録音にも精力的に臨んでいる。そうした中で練られた今回のプログラムは、実に興味深い。

 バッハの独奏用協奏曲を前半と後半それぞれに置き、さらに途中に「幻想曲とフーガ」BWV904を配して、ハイドン、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、リスト、ストラヴィンスキー、つまり古典から近現代へという流れの場面転換を行う。また前半は、ニ短調とその近親調でまとめているという調性的なテーマも窺えるし、ベートーヴェンのバガテル「エリーゼのために」を差し入れているあたりも心にくい。後半はバッハの華やかな「イタリア協奏曲」から、ワーグナー=リストの「イゾルデの愛の死」という濃密なロマン派の響きを聴かせ、ストラヴィンスキーの2作のバレエ音楽の世界へといざなう。「プルチネッラ」からの〈セレナータ〉は、三浦自身による編曲版だ。締めくくりは「ペトルーシュカからの3楽章」。技巧的な難曲として知られる本作を、多彩なタッチと豊かな解釈力を持つ三浦がどう聴かせてくれるか楽しみだ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2022年1月号より)

2022.2/25(金)19:00 めぐろパーシモンホール(小)
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904
https://www.persimmon.or.jp