中井恒仁 & 武田美和子(ピアノデュオ)

20世紀の古典をダイナミックに披露 

左:中井恒仁 右:武田美和子

 日本を代表するピアノデュオである「中井恒仁&武田美和子」は、それぞれの技術にアンサンブル、レパートリーの拡大やプログラミングなど、つねに進化し続けながら、ピアノ・アンサンブルの魅力を多くの人々に伝えてくれている。昨年はオール・ベートーヴェンによるデュオリサイタルを、配信も活用して開催、大きな話題となった。今年はがらりとプログラムの趣向を変え、ストラヴィンスキーの「春の祭典」とバルトークの「2台ピアノと打楽器のためのソナタ」を演奏する。

中井「今年はストラヴィンスキーの没後50年ということもあり、『春の祭典』をぜひ演奏したいと思ったのがはじまりです。この曲は2台ピアノで演奏されることも多いのですが、今回は連弾ということにこだわりました」

武田「2人の奏者が1台のピアノを通して奏でる音の重なりをお聴きいただきたいです。さらにオーケストラのスコアからも音を足しながら、ピアノという楽器だからこそできる響きの可能性をお届けできたらと思っています」

 「春の祭典」だけでもピアニストにとっては大きな挑戦ともいえる楽曲だが、そこにバルトークの難曲、「2台ピアノと打楽器のためのソナタ」が加わるのだから驚きだ。

中井「ストラヴィンスキー、バルトークともに不協和な音も多くリズムも複雑ですが、その中から美しさが浮かび上がってきます。お客様と一緒にその“美”の瞬間を共有したいと思っています。また、“難しい”ということでひとくくりにされてしまいがちな2人の作曲家固有の世界観を表現して、それぞれの作品の魅力をお伝えしたいです」

武田「どちらの作品も確かに複雑で激しい音楽ですが、一方でとても素敵なハーモニーや繊細さ、さらに人間の本能や魂に訴えかける、不思議な感覚もあります。またバルトークは作曲法に“黄金比”を取り入れた人で、どこか宇宙的なものを感じる美しさがあるので、こういった感覚を味わっていただけると、作品の見方もかなり変わってくると思います。ぜひ“怖がらず”に楽しんでいただけたら嬉しいですね」

中井「バルトークの演奏にあたっては、まず“ぜひいつか共演を”と願っていた岡田全弘さんにお願いし、岡田さんの信頼が厚い齊藤美絵さんに加わっていただきました。難曲ではありますが、きっと私たちならではの演奏をお聴かせできると思います」

 音そのものの魅力、そして重なり合う響きの魅力を存分に味わえるリサイタルとなりそうだ。中井&武田の創り出す美の世界にぜひ浸ってほしい。
取材・文:長井進之介
(ぶらあぼ2021年11月号より)

中井恒仁&武田美和子 ピアノデュオリサイタル
ピアノの芸術Vol.6 ストラヴィンスキー没後50年
2021.11/18(木)19:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677 
https://www.proarte.jp