“一筋縄ではいかない”オーケストラの魅力
本拠地・北陸の地に深く根をおろしながらも、しなやかな音楽創りによって、今や全国の音楽ファンの耳目を一身に集めているオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)。6月の定期演奏会には、2人の個性的な指揮者が登場し、まさに“一筋縄ではいかない”OEKの魅力を存分に発揮する。
まずは、2011年にOEKの定期に初登場以来、真摯な音楽創りで聴く者に感銘を与えている若き名匠、アレクサンダー・リープライヒが再び登場。ベートーヴェンの全交響曲シリーズ第4弾として、今回は第2番と第3番「英雄」を。さらに、スイス出身の現代作曲家ベルンハルト・イェストル編曲によるバッハのコラール前奏曲「キリエ、精霊なる神よ」を添える。ヨーロッパはもとより、アジアにも活動の幅を広げているリープライヒ。北朝鮮にも客演し、音楽の力がイデオロギーの違いすら超越すると立証した彼だけに、今回も名演が期待できそう。
そして、バロックヴァイオリンの鬼才、エンリコ・オノフリも、再びOEKの指揮台へと降臨。初共演となった昨春の定期では、弾き振りを交えつつ、鮮やかな色彩感のバッハやヴィヴァルディを披露し、聴衆を沸かせた。今回はハイドンの交響曲第100番「軍隊」を軸として、ヴィヴァルディの曲集「調和の霊感」や「ラ・ストラヴァガンツァ」からセレクトした名協奏曲や、ソプラノの森麻季を迎えてのヴィヴァルディのモテット、モーツァルトのコンサート・アリアなど、盛り沢山のプログラムに、鬼才のホスピタリティが滲む。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2014年5月号から)
第350回定期公演 マイスター・シリーズ ★6月7日(土) Lコード:52863
第351回定期公演 フィルハーモニー・シリーズ ★6月12日(木) Lコード:52867
会場:石川県立音楽堂コンサートホール
問:石川県立音楽堂チケットボックス076-232-8632
http://www.orchestra-ensemble-kanazawa.jp/