浜松国際ピアノ・フェスティバル2021

コンクールゆかりのピアニストが大集結!

 3年に一度、浜松を舞台に繰り広げられる浜松国際ピアノコンクールは、本来であれば今年は開催年に当たり、11月には第11回のコンクールが行われる予定だった。応募者も過去最高の452名を記録した。しかし新型コロナウイルス感染防止のために海外からの渡航制限が実施されるなか、中止という苦渋の決断が発表されたのは今年の5月だった。

 次回のコンクール開催は2024年11月の予定であるが、1991年・第1回からの30年間に育まれてきたピアノ音楽への関心、若い才能へと寄せられるエールの高まりは繋がれてゆくことになる。というのも、今年は「浜松国際ピアノ・フェスティバル2021」という形となって、秋の浜松がピアノの音色で彩られることになるのだ。開催期間は11月7日から28日まで。これまでのコンクールや「浜松国際ピアノアカデミー」の参加者たちによるユニークな公演が目白押しだ。

 〈オープニング〉を飾るのは、2018年・第10回のコンクール覇者ジャン・チャクムルだ(11/7)。シェーンベルクの「3つのピアノ曲」やシューベルトのソナタ第20番等を披露するほか、第11回のコンクール委嘱作品である川島素晴の「Hama-Con-Plex」も演奏される。〈若き巨匠〉として登場するのは、共に第8回のコンクールで上位入賞を果たした佐藤卓史と阪田知樹のジョイント・リサイタル。阪田はシューマンやショパンを、佐藤は得意のシューベルトをじっくりと聴かせる(11/13)。浜コン審査委員長という重責を担うピアニストの小川典子は、〈審査委員長が奏でる名器〉に出演、浜松市が誇る楽器博物館所蔵の1874年製エラールでサティの作品を演奏し、19世紀の芳しき世界観を再現する(11/14)。また〈日本人最高位者〉では、上原彩子が2022年のデビュー20周年を目前に、ショパン、シューマン、リストの名曲を届ける(11/20)。第8・9回の審査委員長・海老彰子と国際舞台で活躍めざましい實川風は、〈至高の室内楽〉で日本の弦楽器名手らとともにピアノ四重奏曲の名作を聴かせる(11/21)。〈あなたが審査員〉と題された3日間(11/25〜11/27)は、第11回コンクール日本人応募者たちが熱演を繰り広げる。〈フィナーレ〉には、牛田智大、髙木竜馬、小井土文哉という歴代の浜松アカデミーコンクール優勝者であり、旬のピアニストがベートーヴェン 、グリーグ、ショパンのピアノ協奏曲を高関健指揮東京交響楽団と華麗に披露する(11/28)。

 コンクールの熱い舞台に期待を寄せていた聴衆にとっては嬉しいニュース。浜松の秋を楽しもう!
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2021年10月号より)

〈オープニング〉ジャン・チャクムル ピアノ・リサイタル
2021.11/7(日)14:00 アクトシティ浜松(中)
〈若き巨匠〉佐藤卓史×阪田知樹 ジョイント・リサイタル
11/13(土)14:00 アクトシティ浜松(中)
〈審査委員長が奏でる名器〉小川典子 plays サティ on エラール
11/14(日)14:00 アクトシティ浜松(中)
〈日本人最高位者〉上原彩子 ピアノ・リサイタル
11/20(土)14:00 アクトシティ浜松(中)
〈至高の室内楽〉海老彰子×實川 風〜ピアノ四重奏〜
11/21(日)15:00 アクトシティ浜松(中)
〈あなたが審査員〉第11回浜松国際ピアノコンクール応募者によるリサイタル
11/25(木)13:00、11/26(金)13:00、11/27(土)12:00 アクトシティ浜松(中)
〈フィナーレ〉牛田智大×髙木竜馬×小井土文哉〜コンチェルトの饗宴〜
11/28(日)14:00 アクトシティ浜松
2021.9/19(日)発売
問:浜松市文化振興財団053-451-1114 
https://www.hipic.jp/pianofes/
※フェスティバルの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。