Ensemble FOVE『ZINGARO!!!』

新たなフィールドに踏み込む超越的なセンス

(c)Natsu Tanimoto

 坂東祐大は芥川作曲賞(2015年)をはじめとする受賞歴を誇り、若手の中心的な作曲家として認知されているが、近年は現代音楽の枠を超えたユニークな活動を精力的に展開している。その核にあるのが、実力派アーティストを結集して立ち上げた「Ensemble FOVE(アンサンブル・フォーヴ)」だ。コンサートホールという場の固定化された向きあい方から音楽を解き放ち、新たなフィールドを創造する試みが、様々なプロジェクトに結実している。またEnsemble FOVEメンバーとともに宇多田ヒカル、米津玄師らのヒット作や劇伴に参加しているのも、その表現力が高く評価されているからに他ならない。

 さて、そんな彼らがエキゾティックなロマ音楽を、刺激的かつ極上のエンターテインメントに仕立てたのが「ZINGARO!!!」だ。ジプシー・ヴァイオリンに想を得たクラシックの名曲をヴァイオリンの尾池亜美が自在に歌いまくり、メンバーたちが盛り上げていく。もともとはCDとして制作された企画だが、いよいよステージで繰り広げられるというわけだ。どんなアイディアが飛び出すか!?
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2021年9月号より)

2021.9/12(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール【チケット完売】
問:SAFチケットセンター0570-064-939
https://www.saf.or.jp