明日10月19日、神奈川県民ホール・オペラ・シリーズ2019《カルメン》が開幕する。国内3劇場・4団体のグランドオペラ共同制作。演出は田尾下哲。
《カルメン》と言えば、深紅のドレス、赤い薔薇、闘牛士・・・そのような強烈なイメージを解き放つ新たなカルメン像を問いかける、チャレンジングな舞台だ。
本公演を前に17日に行われた加藤のぞみ組のゲネプロ(最終総稽古)を取材した。
(2019.10/17 神奈川県民ホール 取材・撮影:寺司正彦)
*稽古のため、照明、衣裳、その他細かい演出が本番と異なります。
田尾下は《カルメン》の舞台を“アメリカのショービジネスの世界”に置き換える。物語は、まだまったく無名の“女優”カルメンがバーレスクのクラブのオーディションを受けるシーンから始まる。
オーディションに合格したカルメンは、バーレスクのクラブで花形的存在に。ドン・ホセの上司であるスニガは、表の顔はニューヨーク市警でありながら、裏でショービズ界を牛耳っている。生真面目な警官のホセと、ミュージカルスターの卵であるミカエラ。
スニガに見出されたカルメンは、ブロードウェイのスターとなり、ハリウッド映画界の大物スターでプロデューサーでもあるエスカミーリョと出会う。しかし、ホセとの密会がスニガの逆鱗にふれ、ショービズ界から追放されてしまう。
場末のサーカスに流れ着いたカルメンだが、エスカミーリョによりまたも拾われ、チャンスを活かし再び脚光を浴びる。銀幕のスターへと上り詰めたカルメンは、レッド・カーペットの上を歩く・・・。
ミュージカルの演出も多く手がける田尾下らしく、バーレスクのシーンはミュージカル『NINE』や『シカゴ』の雰囲気で、黒を基調としたヴィジュアル。ブロードウェイのシーンは映画『ムーラン・ルージュ』の雰囲気で、サーカスのシーンは世界制覇を成し遂げる前のシルク・ド・ソレイユ、と細かく設定。オリジナルの台詞を生かしたオペラ・コミック版だから、オペラファンはもちろん、これまでオペラになじみのなかったミュージカルファンや映画ファンも楽しめる舞台だ。
終幕、新恋人となったエスカミーリョの晴れ舞台を見にやってきたカルメンは、元カレのホセと言い合いになり、ホセからもらった指輪を投げ返す。「原作のメリメの小説にもありますが、恋人と会おうとする場に、元カレの指輪をしてくるものなのか?」と疑問を呈する田尾下が「投げつけられた指輪の行方もていねいに描いている」と語るように、「指輪」には驚きの解釈がなされているからぜひ注目したい。
【第1幕】
【第2幕】
【第3幕】
【第4幕】
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〜加藤のぞみ(メゾソプラノ)インタビュー(ぶらあぼ2019年8月号より)
【Information】
グランドオペラ共同制作《カルメン》
指揮:ジャン・レイサム=ケーニック(神奈川・愛知) エリアス・グランディ(札幌)
演出:田尾下 哲
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団(神奈川)、名古屋フィルハーモニー交響楽団(愛知)、札幌交響楽団(札幌)
合唱:二期会合唱団(全公演)、愛知県芸術劇場合唱団(愛知)、札幌文化芸術劇場カルメン合唱団(札幌) 他
出演
カルメン:加藤のぞみ(10/19、11/2、1/25)、アグンダ・クラエワ(10/20、11/3、1/26)
ドン・ホセ:福井 敬(10/19、11/2、1/25)、城 宏憲(10/20、11/3、1/26)
エスカミーリョ:今井俊輔(10/19、11/2、1/25)、与那城 敬(10/20、11/3、1/26)
ミカエラ:髙橋絵理(10/19、11/2、1/25)、嘉目真木子 他(10/20、11/3、1/26)
上演予定時間:3時間15分(第1幕・第2幕:90分、第3幕:40分、第4幕:20分、休憩2回)
【神奈川公演】
2019.10/19(土)、10/20(日)各日14:00 神奈川県民ホール
問:チケットかながわ0570-015-415
https://www.kanagawa-kenminhall.com/
【愛知公演】
2019.11/2(土)、11/3(日・祝)各日14:00 愛知県芸術劇場
問:愛知芸術文化センタープレイガイド052-972-0430
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/
【札幌公演】
2020.1/25(土)、1/26(日)各日14:00 札幌文化芸術劇場 hitaru
問:道新プレイガイド0570-00-3871
https://www.sapporo-community-plaza.jp/
特設ウェブサイト
https://www.kanagawa-kenminhall.com/aichi-sapporo-carmen/