グランドオペラ共同制作《カルメン》記者懇談会

 神奈川県民ホール、愛知県芸術劇場、札幌文化芸術劇場 hitaruで上演される、グランドオペラ共同制作《カルメン》の記者懇談会が、9月27日、東京都内で開催された。

左より:田尾下 哲、加藤のぞみ、城 宏憲
写真提供:神奈川県民ホール

 今回、《カルメン》のフル上演を初めて演出する田尾下哲は、19世紀に誕生したこの作品が今日的な視点から見てはらむ問題点をあぶり出した上で、物語を20世紀のアメリカのショービジネスの世界に置き換えたと表明。無名の女優カルメンが、バーレスクのクラブ、ブロードウェイの劇場、ドサ回りのサーカスを経てハリウッドの映画スターになり、終幕はアカデミー賞のレッド・カーペットでドラマが展開するという演出プランについて説明した。オーディションを受けてブロードウェイの舞台に出演するも、スニガの逆鱗にふれてドサ回りに落ちぶれ、しかし、ハリウッド・スターのエスカミーリョに見出され…との筋書きで、スニガ、エスカミーリョとも、実在するショービズ界の大物をイメージしているとのこと。

 これがロール・デビューとなる加藤のぞみ(アグンダ・クラエワとダブルキャスト)にとって、カルメンは「夢の夢のまた夢だった役」。ショービズの世界を描く今回のプロダクションに、稽古始めはとまどいもあったそうだが、「『カルメンは絶対あきらめない』との田尾下さんの言葉を聞き、(自身がキャリアを積んだ)イタリア、スペインで悔しい思いをしてきた、その闘争心は役柄に活かせると思った。新しいカルメンを作っていけたら」と熱く語った。

 ドン・ホセ役を務める城宏憲(福井敬とダブルキャスト)は、「ダンスだけでなく、のけぞる、這いつくばるといった動きも入っていて、身体表現の上でもとても魅力にあふれているプロダクション。ドン・ホセは踊らないが、ピエロの姿になるシーンもある。話の渦の中心にはいないが、カルメンの生き様を見せる影として、新しい要素を取り込んだ上で作り上げていきたい」と抱負を述べた。

 今回のイメージ・ソースとして、『NINE』や『シカゴ』、『ムーラン・ルージュ』といった映画作品の名前を挙げた田尾下。ドン・ホセの〈花の歌〉からカルメンの「自由!」の叫びにつながるくだりでは、『シカゴ』の〈ロキシー〉のナンバーさながら、カルメンにしか見えない夢想が描出されるという。ミュージカルの演出も手掛ける田尾下のこと、映画ファン、ミュージカル・ファンにもアピールする作品世界が期待できそうだ。
取材・文:藤本真由

グランドオペラ共同制作《カルメン》(新制作)
2019.10/19(土)、10/20(日)各日14:00 神奈川県民ホール
11/2(土)、11/3(日・祝)各日14:00 愛知県芸術劇場 大ホール
2020.1/25(土)、1/26(日)各日14:00 札幌文化芸術劇場 hitaru

特設ウェブサイト
https://www.kanagawa-kenminhall.com/aichi-sapporo-carmen/

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