【出演者変更】第22回 京都の秋 音楽祭

古都に国内外の名手たちが集結

*出演者変更のお知らせ
「第22回 京都の秋 音楽祭」のNDRエルプフィルハーモニー管弦楽団公演にソリストとして出演予定であったピアニストエレーヌ・グリモーは、肩の故障のため、来日が不可能となりました。代役としてルドルフ・ブッフビンダーが出演いたします。曲目の変更はございません。(ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番)
詳細は下記ホームページをご確認ください。
http://www.kyotoconcerthall.org/


一年のうちで最も輝きを増す季節を迎えた古都を、美しいハーモニーで、いっそう華やかに彩る「京都の秋音楽祭」。22回目となる今年は、9月16日から11月23日まで、京都コンサートホールを会場として開催される。国内外から選りすぐりの名手たちを迎えて、期間中に行われる公演はどれも個性的かつ魅力的。次第に紅葉の衣を纏いゆく京都の街と共に、極上の響きを堪能したい。

井上道義の「ショスタコ第12番」で幕開け

「芸術の秋」の到来を高らかに告げるのが、開会記念コンサート(9/16 完売)。今年ももちろん、士気が高く、精緻な演奏で近年、ますます評価を高めている京都市交響楽団が登場する。タクトを執るのは、日本が誇る名匠・井上道義。井上は1990年から8年間、音楽監督と常任指揮者を務め、京響サウンドを磨き上げた立役者だけに、まさに苦楽を共にした間柄と言えよう。
今回は、井上がライフワークに位置づけているショスタコーヴィチの交響曲から、特に熱い血潮に溢れた第12番「1917年」が軸に。レーニンによるロシア革命を題材としつつ、人類にとって普遍的な「希望」を謳い上げる佳品。ここへホルストによる壮大かつ幻想的な組曲「惑星」を添える。20世紀というキーワードから「未来」を導き出す巧みなプログラミング。井上らしい、こだわりと奥行きを感じさせる構成となっている。

ギルバート&NDRエルプフィルも登場!

そして、音楽祭の核の一つとなっているのが、世界第一線のオーケストラによる来日ステージ。今年はドイツ・ハンブルクから、錚々たる巨匠指揮者たちのもと、数々の快演や名録音を重ねてきた名門・NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団が、次期首席指揮者への就任が決定しているアラン・ギルバートに率いられて登場する(11/1)。
「ハンブルク北ドイツ放送交響楽団」として、名将ハンス・シュミット=イッセルシュテットのもと、1945年に創設。ヴァントやエッシェンバッハら錚々たる巨匠たちが首席指揮者を務めてきた。そして2017年1月、新ホールへ拠点を移転するのを機に「NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団」へと改称。そんな名門の首席指揮者を来季から引き継ぐのが、アメリカ出身のギルバートだ。
ヴァイオリニストの両親の間に生まれ、1994年にジュネーヴ国際コンクール指揮部門を制した。その知的な指揮ぶりで、今や欧米の一線楽団から引っ張りだこの人気者で、今春から東京都交響楽団の首席客演指揮者を務めるなど、わが国でもおなじみ。今回はブラームス「交響曲第4番」をメインに、名手エレーヌ・グリモーをソリストに迎えてのベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」ほかを披露する。

ドビュッシー没後100年企画や室内楽などにも注目

若い才能が躍動するのも、この音楽祭の特徴。関西の8つの音楽大学の学生による「関西の音楽大学オーケストラ・フェスティバル」の第8回は、秋山和慶指揮でマーラー「交響曲第5番」ほかに挑む(9/24)。そして、没後100年を記念し、その作品の魅力を掘り下げるシリーズ「光と色彩の作曲家 クロード・ドビュッシー」全3回(10/13,11/10,11/23)も要注目。シリーズ最終回にはパスカル・ロジェも登場する。また、京響は音楽祭初日のみならず、ヨエル・レヴィ(10/12)、準・メルクル(9/22,9/23)、アレクサンドル・ラザレフ(11/17,11/18)と名指揮者たちと立て続けの共演でも魅せる。
そして、ヴァイオリンの巨匠オーギュスタン・デュメイは、音楽監督を務めている関西フィルハーモニー管弦楽団の名手たちと共に降臨。「ピアノ四重奏曲第3番」をはじめ、ブラームスの室内楽の佳品を聴かせる(9/19)。さらに、イタリアのコントラバス集団「The Bass Gang」による、冴え渡る技巧と音楽性、ユーモアあふれるステージ(10/11)や、フランスの「ハバネラ」と日本の「ブルーオーロラ」、2つの名サクソフォン・カルテットの共演(10/31)など、魅力的な公演が満載。期間中は、決して“耳”が離せない。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年9月号より)

2018.9/16(日)〜11/23(金・祝)京都コンサートホール 大ホール、アンサンブルホールムラタ
問:京都コンサートホール075-711-3231
http://www.kyotoconcerthall.org/