第42回ピティナ・ピアノコンペティションで角野隼斗がグランプリ

 今年で第42回を迎えた「ピティナ・ピアノコンペティション」(全日本ピアノ指導者協会 主催)の最上級部門「特級」のファイナル(審査員長:二宮裕子)が8/21にサントリーホール大ホールで開催され、角野隼斗(すみのはやと)がグランプリを獲得した。また、来場者の投票で決まる「聴衆賞」の第1位には古海行子(ふるみやすこ)が選ばれた。
(2018.8/22 都内 Photo:I.Sugimura/Tokyo MDE)

角野隼斗

◆最終審査結果
グランプリ 角野隼斗(千葉県出身)東京大学大学院1年
銀賞 上田実季(愛知県出身)東京藝術大学4年
銅賞 古海行子(神奈川県出身)昭和音楽大学3年
入選 武岡早紀(兵庫県出身)東京藝術大学4年

聴衆賞第1位 古海行子

 同コンペティションは、世界的にも最大級の規模を誇り、今年は全3部門23の級とカテゴリーに延べ45,755組が参加。今回は、史上初めてサントリーホール大ホールがコンクールの舞台となった。「特級」からは、これまでに田村響(ロン=ティボー国際 第1位)、関本昌平(ショパン国際 第4位)など国際的に活躍するピアニストを輩出している。
 ファイナルでラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を弾き、見事グランプリに輝いた角野は、1995年生まれ。千葉県出身。幼少期よりピティナ・ピアノコンペティションのさまざまな部門に参加し、数々の入賞歴があるほか、2017年にショパン国際コンクール in ASIA 大学・一般部門において金賞、及び特別優秀賞・ソリスト賞を受賞。また、16年にはルーマニアにて国立ブラショフ・フィルハーモニー交響楽団と共演。現在、金子勝子、吉田友昭の各氏に師事。東京大学大学院1年在学中。

左:福田成康(全日本ピアノ指導者協会 専務理事) 右:角野隼斗

 8/22の表彰式の後に行われた記者会見では、角野は「グランプリをいただいたことに僕自身とても驚きましたが、本当に光栄で、嬉しく思っています」と喜びを語った。今後は、ラフマニノフやリストなどのほか、カプースチンのようなジャジーな曲も弾いてみたいという。
 勉学との“二刀流”については、「どっちもやっているからこそ、できることがあれば良いなと思っています。研究とピアノの両立は難しいものですが、これからも責任をもって音楽活動を続けていけたら」と話した。東京大学大学院での専攻は、工学部の情報系で、音楽にも関わりのある分野を研究しているという。
「例えば、最近は人工知能で音楽を作ったり編集したりする研究もされていますが、そういう研究においては演奏者の視点というのが重要になってくると思うので、そのあたりで何か新たな視点を見つけられたらいいなと思っています」と語り、研究者としての一面も覗かせた。

ピティナ・ピアノコンペティション
http://compe.piano.or.jp/