ロリー・マクドナルド(指揮) 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

ドラマティックで豊穣なサウンドを満喫

ロリー・マクドナルド
C)Ruth Crafer
 若い世代の、新鮮な指揮者が頻繁に登場する首都圏のオーケストラだが、未来を占うという意味でも若手指揮者の音楽性やルックス、オーケストラとのコンタクト力などに注目しておくのも一興だ。
 1980年にスコットランドで生まれたロリー・マクドナルドは、デイヴィッド・ジンマンやフィンランドの名匠ヨルマ・パヌラほかの薫陶を受け、アントニオ・パッパーノの下でワーグナー作品、とりわけ《ニーベルングの指環》への理解を深めた。コンサートとオペラの両輪においてキャリアを積み、ダイナミックな音楽作りをするマエストロとして評価を高めている。
 11月17日に行われる神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会では、そうしたマクドナルドが得意とする作品がプログラミングされ、聴き手はこの指揮者の存在感を大いに知ることになるだろう。コンサートの後半には、近年ますます日本でも知られるようになった《ニーベルングの指環》オーケストラル・アドヴェンチャー(ヘンク・デ・フリーヘル編曲)が演奏されるからだ。長大なこの楽劇の名曲・名場面集といえるこの組曲は、ワーグナーの響きに約1時間どっぷりとつかりながら物語を“冒険”するような趣向であり、オペラはちょっと苦手だという方でも交響詩として楽しめるはず。コンサート前半にはワーグナーの影響も見え隠れするエルガーの「南国にて」も演奏され、神奈川フィルの豊かなサウンドが全開となるだろう。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2018年9月号より)

定期演奏会 みなとみらいシリーズ 第344回
2018.11/17(土)14:00 横浜みなとみらいホール
問:神奈川フィル・チケットサービス
  045-226-5107 
http://www.kanaphil.or.jp/