すべての感情が込められた音 すべてが凝縮された響きを目指します
今年デビュー25周年を迎えた上杉春雄が、“時を聴く”と題したコンサートシリーズを行う。
「タイトルは、尊敬する彫刻家の安田侃(やすだかん)さんがローマで行った野外展覧会、“時に触れる”からとりました。時間とともに流れる聴覚芸術である音楽、そこに、自分と周囲の人たちの25年という時間と近代クラシック音楽の歩んだ時間を閉じこめてみる、というコンセプトです」
医師であり、ピアニストでもある上杉にとって、ピアノと向き合う時間を確保することは簡単なことではない。彼が過ごしてきた音楽との時間は、我々が想像する以上に濃密なものだったのだろう。
「25年前、今もこうしてピアノを弾き続けていられるという確信はまったくありませんでした。支えてくださる方がいるからできたことで、とても感謝しています」