
右:ヴィルデ・フラング ©Marco Borggreve
バーミンガム市交響楽団音楽監督ほか世界各地にポストをもち、わが国を代表する指揮者として多忙を極める山田和樹。2012年から22年まで日本フィル正指揮者をつとめ、長年にわたり信頼関係を築いてきた。近年も定期的に共演しているが、彼が指揮台に立つ日本フィル10月東京定期には期待せずにはいられない。プログラムはかねてから山田が力を入れてきた邦人作品と近代の名作との組み合わせで独自色満載だ。間宮芳生の「二重合奏協奏曲」は、日本フィル・シリーズ第16作。同楽団が邦人作曲家にオーケストラ作品を継続的に委嘱・初演してきた輝かしい歴史の一ページを彩った曲である。1966年に初演された同作は二群に分かれたオーケストラが緊密な対話をくり広げるのが特徴で、冒頭からそのシャープで斬新な音響に息をのむ思いだ。
続いて演奏されるのがバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番。濃密な民族色とモダンな響きとが融合した秀作である。わずか12歳でヤンソンス指揮のオスロ・フィルと共演後、世界各地で躍進中のノルウェー出身のヴィルデ・フラングがソリストをつとめる。使用楽器は1734年製のグァルネリ・デル・ジェス「ロード」。名器が奏でる美麗な音色にも酔いしれたい。プログラムをしめくくるのはチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。誰もが知る名曲を山田がどのようにまとめあげるのか。近年さらに磨きのかかった日本フィルから豊潤で迫力のある響きを引き出してくれるにちがいない。
文:伊藤制子
山田和樹(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団 第784回 東京定期演奏会
2026.10/16(金)19:00、10/17(土)14:00 サントリーホール
問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
https://japanphil.or.jp

伊藤制子 Seiko Ito(音楽学・音楽評論)
東京藝大、同大大学院修了。現在、東邦音大・同大学院、静岡文化芸大、日大講師。日仏の20世紀以後の音楽、音楽美学を研究するかたわら、音楽評論、海外オペラ取材なども行う。2017年のモンテヴェルディ生誕450年イヤーにヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場のモンテヴェルディ三部作の上演を取材。音楽以外のライフワークは旅と俳句。奈良、ヴェネツィアなどで史跡を探索するのが趣味。

