
右:津田裕也 ©Christine Fiedler
理知的かつ繊細なアプローチで、魅力的な調べを紡ぎ出すヴァイオリニストの漆原朝子が、13年ぶりにベートーヴェンのソナタ全10曲に対峙する。「弦楽四重奏全曲演奏の経験から、さらに深い世界に触れられました。ソナタも、新たな観点から取り組めるはず」と漆原。さらに、「自分にとって、常に近しい存在だった」というシューベルトのヴァイオリンとピアノのための全作品もシリーズ内で併せて披露し、「2人の作曲家の想いを、皆さまと共有できれば」と語る。
「第1番から第9番『クロイツェル』までが書かれたのは、わずか5年の間ですが、手法がどんどん複雑で新しいものへと発展しています。対話や美しい歌に劇的なエネルギーが加わり、規模も大きく、技術的な要求も高まって、精神的な緊張感も増してゆく。かたや、この時期のベートーヴェンは、過酷な運命に抗っていました。彼の人生の流れの一部を担い、その後の音楽を予感させるヴァイオリン・ソナタ。全曲を聴いて、それを実感していただけたら……」
シリーズでは、「音楽が内面へ浸透し、それが自然に音として滲み出てくる」と漆原が評する、ピアノの津田裕也が共演。第1回(12月1日)では、「どの曲も、若い活力にあふれている。苦悩の中にありつつ、魂の次元では、この世に生を受けた神秘に感謝し、創作への歓びに満ちている」という、第1〜3番と第5番「春」を取り上げる。そして、第2・3回(2027年3月・6月)で残りのソナタを弾ききった後、1日2公演(2027年7月)でシューベルトの全作品に臨む。「楽聖に憧れた彼の作品を、同じシリーズに組み込むことで、いっそう深く、かつ天上界にも通ずる透明感を表現したいと考えました」と意図を明かしている。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2026年11月号より)
漆原朝子(ヴァイオリン) ベートーヴェン&シューベルト ヴァイオリンとピアノのための作品 全曲演奏会
【Concert I】 12/1(火)19:00
【Concert II】 2027.3/26(金)19:00
【Concert III】 2027.6/4(金)19:00
【Concert IV & V】 2027.7/3(土)14:00 18:00
大阪/ザ・フェニックスホール
問 KCMチケットサービス0570-00-8255
https://www.kojimacm.com
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。
