読売日本交響楽団は11月5日、2027/28シーズン(2027年4月〜2028年3月)のプログラムを発表した。サントリーホールの改修工事に伴い、定期演奏会と名曲シリーズは東京芸術劇場(上期)とサントリーホール(下期)が会場となり、土曜・日曜マチネーシリーズはこれまで通り東京芸術劇場、横浜マチネーシリーズは横浜みなとみらいホールで開催される。
常任指揮者のセバスティアン・ヴァイグレにとっては、同ポストとして最後のシーズンとなる。まず6月の定期演奏会では、箏のLEO、尺八の長谷川将山らを迎え、三木稔の「急の曲―二つの世界のための交響曲」を取り上げる。ヴァイグレならではの重厚なドイツ的オーケストラ・サウンドと日本の伝統楽器の響きが、どのような融合を生み出すのか。ショスタコーヴィチの交響曲第1番との組み合わせも刺激的で、緊張感と疾走感がみなぎるプログラムだ。
12月には、1980年生まれのイギリスの作曲家イアン・ベルによる「ロンドン歌曲集」(委嘱作品/世界初演)を、バリトンの大西宇宙とともに披露。さらに、ダニエル・ロザコヴィッチを独奏に迎えるシベリウスのヴァイオリン協奏曲、R.シュトラウスの「家庭交響曲」と、聴きごたえ十分のプログラムが組まれた。
そして2028年3月には、世界屈指のバス歌手ルネ・パーペを迎えてのオール・ワーグナー・プログラム。「バス名場面集」と銘打たれたステージでは、その圧倒的な歌唱を存分に堪能できるだろう。さらに、ソプラノのアニヤ・カンペ、テノールのステュアート・スケルトンという世界的な歌手ふたりも加わり、《ワルキューレ》第1幕をヴァイグレの指揮による演奏会形式で聴けるのは、このシーズン最大の聴きどころのひとつとなりそうだ。
また、11月の名曲シリーズでは、ベルリン・フィルの首席ホルン奏者ユン・ゼンを独奏に迎え、R.シュトラウスのホルン協奏曲第1番、第2番を一挙に聴かせる。こちらも聴き逃せない公演となりそうだ。

首席客演指揮者ユライ・ヴァルチュハは7月に登場。定期演奏会では、これまでも読響と取り組んできたマーラーから交響曲第5番を選んだ。一方、名曲シリーズではラヴェルの「マ・メール・ロワ」やドビュッシーの「海」など、フランス音楽の色彩豊かな世界を描き出す。ヴァルチュハの新たな一面に触れることができそうだ。

桂冠指揮者シルヴァン・カンブルランは10月の定期演奏会に登場し、ピエール=ロラン・エマールを独奏に迎えるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番をはじめ、シェーンベルクの室内交響曲第2番、シューベルトのミサ曲第2番という意欲的なプログラムを指揮する。これまでも作品の知られざる魅力を鮮やかに引き出し、聴衆を魅了してきたマエストロ。今回もその卓越した手腕に期待が高まる。
海外からの客演指揮者は注目の個性派が揃う。ベルリン・ドイツ・オペラの首席客演指揮者を務めるなど欧州で躍進を続けるフランスの若手マキシム・パスカル、ドイツの現代音楽作曲家で、アンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督も務めたマティアス・ピンチャー、2024年にベルリン・フィル・デビューを果たした韓国出身の指揮者キム・ウンソンなど、多彩な顔ぶれが並ぶ。

日本人指揮者では、ベルリン・ドイツ響の首席指揮者兼芸術監督、バーミンガム市響の音楽監督を務めるなど、世界を舞台に躍進を続ける山田和樹が2028年1月に登場。ショパンのピアノ協奏曲とラフマニノフの交響曲第2番を指揮する。なかでも、ソリストにイーヴォ・ポゴレリッチを迎えるのは大きな話題となりそうだ。
このほか、特別客演指揮者の小林研一郎、名誉客演指揮者の尾高忠明をはじめ、上岡敏之、角田鋼亮らも指揮台に立つ。

ソリスト陣も前シーズンに引き続き、実に豪華だ。ヴァイオリンではアウグスティン・ハーデリヒ、ヤメン・サーディ、クリスティアン・テツラフ、ヴィクトリア・ムローヴァ、チェロではジョヴァンニ・ソッリマと世界の第一線で活躍する名手たちが集結。さらにフルートのエマニュエル・パユ、カール=ハインツ・シュッツ、トランペットのセルゲイ・ナカリャコフ、そしてベルリンRIAS室内合唱団などもラインナップに華を添える。

ヴァイグレが常任指揮者としての集大成を示す一方、国内外の才能あふれる指揮者やソリストとの共演が、楽団に新たな可能性をもたらすことだろう。これまで培ってきた音楽的充実を礎に、次なる時代へと歩みを進める読響。そのさらなる飛躍に期待が高まるシーズンとなりそうだ。
読売日本交響楽団
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