スザンナ・マルッキ&都響が盤石の布陣で挑む、バルトーク《青ひげ公の城》

左より:スザンナ・マルッキ ©Jiyang Chen/ジョン・レリエ ©Shirley Suarez/シルヴィア・ヴェレシュ
©Raffay Zsofia

 都響7月の定期にフィンランドの指揮者スザンナ・マルッキが初登場。マルッキはアンサンブル・アンテルコンタンポラン音楽監督、ロサンゼルス・フィルハーモニック首席客演指揮者を歴任、現在はヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団の名誉首席指揮者を務める、現代の北欧を代表する指揮者である。

 そんなマルッキが都響との初共演に選んだのは、バルトークのオペラ《青ひげ公の城》(演奏会形式)。陰惨な結末を持つ物語だが、その音楽には何ともいえない幻想的な色彩があり、「怖いけれど惹かれてしまう」魅力に満ちた作品である。マルッキはヘルシンキ・フィルと録音をリリースしているほか、2021年にはベルリン・フィルの定期演奏会でも取り上げるなど、すでに確固たる成果を挙げた作品といえる。都響の持つ精緻なアンサンブルや豊かな表現力をマルッキがどうコントロールしつつ自らの作品解釈を実現していくか、たいへんに楽しみ。歌手も、青ひげ公にメトロポリタン歌劇場やロイヤル・オペラ・ハウスをはじめ世界の一流の歌劇場で活躍するバスのジョン・レリエ、ユディットにマルッキ指揮の《青ひげ公》のCDで同役を歌ったハンガリー出身の俊英シルヴィア・ヴェレシュ(メゾソプラノ)の二人を配し、「オペラ」としての充実度も大いに期待できる。

 前半には同じ「青ひげもの」としてデュカスの歌劇の前奏曲、さらにデュカスに影響を与えたドビュッシー作品を置くなど、プログラム全体がとても魅力的。この夏の注目公演になりそうだ。

文:室田尚子

(ぶらあぼ2026年7月号より)

スザンナ・マルッキ(指揮) 東京都交響楽団
第1047回 定期演奏会 Bシリーズ

2026.7/17(金)19:00 サントリーホール
第1048回 定期演奏会 Aシリーズ
7/18(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:都響ガイド0570-056-057
https://www.tmso.or.jp


室田尚子 Naoko Murota

東京藝術大学大学院修士課程(音楽学)修了。東京科学大学・昭和音楽大学非常勤講師。NHK-FM「オペラ・ファンタスティカ」レギュラー・パーソナリティ。オペラを中心にアーティストのインタビューや演奏会の紹介記事、エッセイなどを手がけるほか、ミュージカル、ロック、少女漫画などのジャンルでも執筆活動を行なっている。著書に『オペラの館がお待ちかね』(清流出版)、共著に『ヴィジュアル系の時代 ロック・化粧・ジェンダー』(青弓社)など。