2/11開催|小倉貴久子&柴田俊幸 デュオ・リサイタル in コピスみよし
日本を代表するフォルテピアノ奏者、小倉貴久子とパリを拠点に活躍するフルート奏者、柴田俊幸が、共に19世紀のオリジナル楽器を用いてシューベルトやベートーヴェンの作品を演奏するリサイタルが2月11日、埼玉県入間郡三芳町のコピスみよしで行われる。

プログラムはシューベルトやベートーヴェンのフルートとピアノのための作品や、歌曲の編曲を軸に組まれている。「美しき水車小屋の娘」の第18曲を主題とするシューベルトの壮大な変奏曲「〈しぼめる花〉による序奏と変奏曲」は、ロマン派を代表する傑作として名高いが、作曲された当時の楽器でこうした室内楽作品を聴ける機会は未だ少ない。今回のリサイタルでは、この曲をほぼ同時代に製作されたオリジナル楽器の響きで楽しむことができる。

フルートに関して言えば、今日の主流となっているベーム式のフルートが誕生したのは、ベートーヴェンやシューベルトが没した直後のこと。18〜19世紀の器楽教則本が、ほとんど例外なく「人間の声を模倣せよ」「優れた歌手を手本とせよ」と書いていることは示唆的だ。器楽が「歌う」ことを当然の前提としていた時代、木製のロマンティック・フルートは、現代のフルートと見た目も音色も大きく異なり、音量や均質性よりも音色の陰影と語り口を重視していた。今回のリサイタルでは、3本の楽器を吹き分けるという。

J-L.トゥルー製作(1820年頃)5鍵式フルート(コーカスウッド)
W.リーベル製作?(1830年頃)9鍵式フルート(黒檀) 修復および頭部管製作:F.アウリン(2022年)
フランスパン(2026年)
一方、ピアノは小倉が所有するヨハン・バプティスト・シュトライヒャー製作のピアノ(1845年製)。ヨハンの母ナネッテは、ベートーヴェンと交流があったことで知られ、シュトライヒャー一族は時代を代表するメーカーの一つだった。音域は6オクターヴ半余り。ウィーン式アクションをもつ平行弦の楽器は、発音が明瞭で細やかな音のニュアンスが味わい深い。

古楽界を牽引する二人が届けるステージは、“時代の価値観”を雄弁に物語る。どのような美意識の上に、この時代の音楽が成り立っているのか。それを確かめることができる貴重な機会となりそうだ。コンサートの終演後には、公開マスタークラスも予定されており、聴講も可能。この機会に、より深く楽器や演奏スタイルのことを学びたい人にお勧めだ。
文:編集部
【Information】
19世紀の音、いま蘇る
小倉貴久子&柴田俊幸 デュオ・リサイタル
2026.2/11(水・祝) 14:00 埼玉/コピスみよし
小倉貴久子(フォルテピアノ)
柴田俊幸(ロマンティック・フルート)
シューベルト:即興曲 変イ長調 D899 op.90-4(ピアノソロ)
シューベルト/テオバルト・ベーム編曲:《冬の旅》《白鳥の歌》より抜粋
シューベルト:「しぼめる花」による序奏と変奏曲 D802
ベートーヴェン:6つの民謡の主題による変奏曲 op.105より 第4曲「夏の名残の薔薇」ほか
https://www.miyoshi-culture.jp/event/32667/
小倉貴久子(フォルテピアノ)柴田俊幸(フルート)
公開マスタークラス
2026.2/11(水) 16:00 埼玉/コピスみよし
https://www.miyoshi-culture.jp/event/32676/
問:コピスみよし(三芳町文化会館) TEL:049-259-3211
