テーマは「変貌…Transfiguration」

阪哲朗が常任指揮者に就任してから8年目のシーズンを迎える。「伝説・伝承=LEGENDS」をテーマとした今シーズン、いまから半世紀以上前に山響を旗揚げした創立名誉指揮者の村川千秋が、6月に奇しくも逝去した。そして迎える新シーズンのテーマは、「変貌…Transfiguration」。時が経っても変わらないものは大切に、しかしこの先もまだ見ぬ世界を目指し挑戦していくんだという強い決意が感じられる。事実、阪が得意とするオペラを取り入れるようになった山響は、表現の幅に一段と懐の深さが加わっている。
その象徴というべき演奏会形式オペラシリーズは、27年2月に開催される。近年ますます存在感を際立たせているこの企画、5回目となる次の演目はヴェルディ《仮面舞踏会》。海外でも活躍するソプラノ中村恵理を迎え、常連の宮里直樹、大西宇宙ら人気歌手も登場する。また毎年6月に東京と大阪で行われる大好評のさくらんぼコンサートは、阪が指揮を務め、ラデク・バボラークがホルンのソリストとして出演するという豪華な顔ぶれだ。阪は26年9月の定期公演でもシューベルトのミサ曲第5番をメインに地元山形出身の作曲家 我妻 英の山響委嘱新作を世界初演する。
ミュージック・パートナーのバボラークは、前述のさくらんぼコンサートに加え、指揮・ソリスト・作曲の一人三役で26年5月の定期公演にも登場する。海外勢は他にもリトアニア出身のヴァイオリニストで指揮者としての活躍も顕著なジュリアン・ラクリン(26年7月)、昨年11月やまぎん県民ホールで《コジ・ファン・トゥッテ》を振って日本デビュー、絶賛を博したイタリアのクレリア・カフィエーロ(27年1月)、そして日本でもお馴染みの巨匠 ユベール・スダーンも今シーズンに続いてタクトを執る(27年3月)。首席客演指揮者の鈴木秀美はモーツァルト、ベートーヴェンというプログラムで古典派の真骨頂を魅せる(27年2月)。
他にもクラシック界に新風を吹き込むサクソフォンの上野耕平と川瀬賢太郎というコンビが26年4月のシーズン開幕公演を飾り、26年8月にはベルリンを拠点とし近年日本のオーケストラでも活躍著しい出口大地が米沢での公演に登場となる。
一方ソリストは、人気と実力を兼ね備えた若いピアニストの名前がずらりと並ぶ。26年10月には、神童としてデビューしその後も世界中で人気のニュウニュウがモーツァルトの協奏曲第9番を、27年1月には日本とフランスを拠点に活動する務川慧悟がサン=サーンスの協奏曲第5番を披露、27年3月には久末航、鈴木愛美といった活躍際立つピアニストらが続けて出演する。
国内外から個性豊かな音楽家を迎え、“変貌”を続ける山形交響楽団の新シーズンは、さらなる展開が期待されるラインナップとなった。多彩なステージから、オーケストラの新たな魅力を感じられるに違いない。
文:編集部
やまぎん県民ホールシリーズ2025 Vol.3 演奏会形式オペラシリーズⅣ
プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》
2026.1/18(日)15:00 やまぎん県民ホール
第330回 定期演奏会
2026.2/7(土)19:00、2/8(日)15:00 山形テルサホール
第331回 定期演奏会
2026.3/7(土)19:00、3/8(日)15:00 山形テルサホール
1/7(水)発売
問:山響チケットサービス023-616-6607
https://www.yamakyo.or.jp



